日本百名山の一つ金峰山の山頂に聳え立つ五丈岩(高さ約15m)。
天辺まで登れるので(難易度は高く危険)、挑戦しようとする人は多く、登り方やルートを解説しているWebサイトも見かけます。
しかし、五丈岩に登ってはいけなかったのです!
五丈岩に登った人には、その後、祟りが……
という話ではありません。
私も最近、ある記事をきっかけに知ったことなので、この情報をシェアしたいと思います。
きっかけは…こちらの記事
五丈岩(ごじょういわ)に登ってはいけないことを知ったのは、たまたま↓こちらの記事を見かけたからです。
五丈岩には登らないでほしいのです | Run boys! Run girls!
この記事は東京にあるトレイル&ランニング専門店「ランボーイズ!ランガールズ!」のWebサイトに掲載されたものです。
投稿者は金峰山へと続く修験道「御岳古道(みたけこどう)」の整備・保護をおこなっている「御岳古道を復元する会」のメンバーとのこと。
タイトルは「五丈岩には登らないでほしいのです」と、控えめな表現になっていますが、記事を読んでみると、五丈岩に登ってはいけない理由は明らかでした。
五丈岩に登ってはいけない理由
五丈岩に登ってはいけない理由は次の2つです。
- 金峰山信仰でもっとも神聖な場所だから
- 金櫻神社が禁止しているから
それぞれ詳しく説明していきましょう。
1. 金峰山信仰でもっとも神聖な場所だから
金峰山は古くから山岳信仰の対象となり、山頂に聳え立つ五丈岩はもっとも神聖な場所(本宮、御神体)として崇められてきました。
五丈岩の前に鳥居が設置されているのは、ここから先は神域であるという目印です。
御神体である五丈岩に登るのは、神聖な場所を土足で汚すような行為になってしまうのですね。
といっても…
「神聖な場所だから登ってはいけない」という理由に納得できない人も多いでしょう。
しかし、2つめの理由は決定的です。
金峰山は古くから信仰の山としての歴史をもつ。
五丈岩の頂きからは「甲斐派美」という清水が湧く場所(甲斐の水源)があると信じられ、耕作の守護神として崇拝されてきた。
伝承によると、今から約2,000年前、第10代崇神天皇が各地に蔓延していた疾病を収めるため、諸国に神を祀って祈願。
金峰山山頂の五丈岩には、医薬の神様として少彦名命が祀られた。
その後、日本武尊が東征の際に、五丈岩の下に社殿を建てたと言われている。
それから500年後、修験道の開祖である役小角によって、大和の国(奈良県吉野)の金峰山から蔵王権現を勧請し(神仏の分霊を迎える)、西の金峯山に代わる東の修験道聖地として隆盛をきわめたという。
2. 金櫻神社が禁止しているから
金櫻神社(かなざくらじんじゃ)は、甲府/昇仙峡を昇りつめた地にあり、金峰山山頂の五丈岩を本宮とした神社です。
実は、五丈岩を中心とした2,500平方メートルは金櫻神社の境内(私有地)だそうです。
土地所有者が禁止しているのだから、これはもう、従うしかないでしょう。
土地所有者の意向を無視して神聖な場所を汚し続ければ、今後、金峰山に登れなくなってしまうかもしれません。
五丈岩付近に設置された看板(上の写真)にもこう書かれています。
お知らせ
五丈岩を中心に2,500平方米は、甲府市御岳町金櫻神社の境内地です。
許可なく工作物を設置することを禁止します。
五丈岩は神霊の宿る岩として厚く信仰されてきた神聖なところです。
岩に登る事は厳禁です。
御嶽山 金櫻神社 社務所
この看板は金櫻神社のホームページ「金峰山登山|金櫻神社」によると、2021年7月に設置されたようです。
多くの人が五丈岩に登り、また穴を空けたり落書きしたりすることに、業を煮やしたのでしょう。
あとがき~看板の設置場所?
前述した記事「五丈岩には登らないでほしいのです」によると、看板を設置した後も五丈岩に登る人が絶えないそうです。
しかし、それはこの看板に気が付かない人が多いからではないでしょうか。
私も2022年6月27日に金峰山に登ったのですが、看板には気付きませんでした。
冒頭の写真は、そのとき五丈岩の正面(東側)から撮ったものです(看板は写っていませんね)。
実際の看板は五丈岩の裏手?(ほんとうはそちらが正面?)に設置されているようです。
もっとわかりやすい場所に設置すれば、看板を無視して五丈岩に登ろうとする人はいなくなるでしょう(きっと……)。
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