2022年8月25日、昭文社の「山と高原地図」シリーズから、三浦アルプスの地図が載った特別版「三浦・房総」が新発売されました。
パッケージには人気の登山マンガ「ヤマノススメ」とコラボしたイラストが描かれ、付録の電子冊子には「ヤマノススメ」の特設ページも掲載されています。
また、同時にスマホアプリ「山と高原地図」で利用できる電子地図もリリースされました。
早速入手しましたので、掲載エリアや三浦アルプス詳細図について、また通常版との違いなどを紹介します。
三浦アルプスについて
まず、三浦アルプスを訪れたことのない人に、三浦アルプスの概要を簡単に説明しておきましょう。
三浦アルプスは神奈川県三浦半島の北部に位置する、いわゆるご当地アルプスです。
しかし、一部のハイキングコースを除き、初心者が気軽に歩けるコースではありません。
200m前後の低山が連なるエリアですが、登山道が複雑に入り組んでおり、安易に入山すると道迷いで遭難するケースが多い山域です。
山に慣れた人でも地図とコンパスはもちろん、スマホのGPSアプリも必携のトレッキングコースです。
三浦アルプスの詳細は、↓こちらの記事をご覧ください。
掲載エリアと三浦アルプスの詳細図
特別版「三浦・房総」の掲載エリアは表面が神奈川県/三浦半島、裏面が千葉県/房総半島(南房総)で、それぞれ以下の構成になっています。
表面:三浦半島
地図の構成 | 縮尺 | 備考 |
①鎌倉・三浦アルプス詳細図 | 1/18,000 | 三浦アルプスは上の写真の「赤枠」部分 |
②三浦半島広域図 | 1/50,000 | 三浦アルプスは上の写真の「青枠」部分 |
③周辺図 | 1/600,000 | 三浦半島と房総半島の広域図 |
④湘南平詳細図 | 1/18,000 |
三浦アルプスの詳細図について
三浦アルプスの詳細図は、①鎌倉・三浦アルプス詳細図に含まれ、上の写真の赤枠で囲った部分です。
縮尺が1/18,000なので、国土地理院の地形図(1/25,000)よりも大きく見やすくなっています。
また、道に迷いそうなポイント(以下4箇所)がクローズアップされている点がわかりやすいですね。
※ただし、森戸川源流および中尾根周辺(道迷い多発エリア)については、「この中には入らないこと」との記載があるだけで、詳細は描かれていません。
裏面:南房総
地図の構成 | 縮尺 | 備考 |
①南房総広域図 | 1/60,000 | |
②鋸山詳細図 | 1/20,000 | |
③養老渓谷 | 1/60,000 | 養老渓谷、久留里城、亀山湖 |
④鉄道・バスアクセス/マイカー案内 | - | 三浦半島と房総半島の鉄道・道路の案内図 |
裏面は南房総総の広域図が中心ですが、縮尺が1/60,000と小さめです。
特別版の特徴(通常版との違い)
今回の特別板はパッケージに「ヤマノススメ」のイラストが掲載されている他、通常版とは以下4つの違いがあります。
- パッケージの大きさと形
- 新素材「LIMEX」を採用
- 電子冊子が付属
- 価格がアップ
1.パッケージの大きさと形
特別版のパッケージサイズは「11.5×20.5×0.5cm」です。
通常版のパッケージサイズが「10×19×0.8cm」なので、横・縦はやや大きく、厚さはやや薄くなっています。
また、通常版には背表紙がありますが、特別板は背表紙のマチがないタイプです。
通常版に付属する小冊子がついていない分、薄いパッケージに仕上げたのでしょう。
2.新素材「LIMEX」を採用
パッケージ及び地図の素材には革命的新素材といわれる、石灰石から生まれた「LIMEX」が採用されています。
見た目や手触りは、ややプラスチックに近い感じですが、折りたたみや扱いやすさについては、通常版とあまり変わらず、今までの「山と高原地図」と同様に取り扱えます。
LIMEXとは
LIMEX(ライメックス)はTBM社が日本で自社開発・製造した紙・プラスチックの代替えとなる新素材です。
世界中に無尽蔵に存在する石灰岩が主原料で、日本でも100%時給自足できる資源になります。
ちなみに、LIMEXという名前は、石灰岩を表す英語「Limestone」からきているようです。
LIMEXの特徴
原料が石なので紙と比べると、高い耐水性と耐久性を兼ね備えています。
また、高効率でリサイクル(アップサイクル)が可能なため、資源問題の改善や環境保全に役立ち、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献できるとのこと。
3.電子冊子が付属
通常版に付属している小冊子(エリア概説やコースガイド)と同様の内容が、デジタルコンテンツとして、スマホなどから閲覧できるようになっています。
※その代わり、通常版に付属している紙の小冊子は付属しません。
ヤマノススメ特設ページについて
今回は特別版のため、通常の内容の他に登山マンガ「ヤマノススメ」とのコラボレーション記念特設ページ(20ページほど)が掲載されています。
「ヤマノススメ」ファンはもちろん、読んだことがない人でも楽しめる内容です。
特設ページの具体的な内容については購入してからのお楽しみに!
(上の写真で目次が確認できます)
4.価格がアップ
特別版の価格は1,430円(税込)。通常版は1,210円(税込)なので、220円高くなっています。
この価格差は「ヤマノススメ」とのコラボの他に、新素材「LIMEX」を採用したためと思われます。
今後、通常版でも「LIMEX」が採用されると価格が上がるかもしれませんね。
電子冊子の閲覧方法と使い勝手
最後に電子冊子の閲覧方法と使い勝手(個人的な感想)を記載しておきます。
電子冊子の閲覧方法
電子冊子はPDFファイルとして提供され、下記の手順で閲覧できます。
- 地図本体に記載されているQRコード(上の写真の赤枠)を探す
- QRコードをスマホのカメラで読みとる(QRコード読み取りアプリ使用)
- すると、ブラウザ等のアプリで閲覧できるようになる
該当するURLをブラウザのブックマークに保存しておけば、いちいちQRコードを読み取らなくても、ブックマークから閲覧可能になります。
(PCのブラウザからでも、該当URLにアクセスすれば閲覧可能です)
基本的にオンライン(ネットに接続された状態)での利用が前提となっているようです。
オフラインで利用できるか?
電子冊子の実体がPDFファイルなので、ダウンロードしておけば、オフライン(ネットに接続されていない状態)でも閲覧できそうですが…
実際に試してみたところ、スマホからダウンロードはできましたが、オフラインでは閲覧できませんでした(再読み込みが必要となる)。
電子冊子の使い勝手
使い方については、スマホの操作に慣れている人なら問題ないでしょう。
ただし、スマホの小さい画面では文字が小さくて読みにくいですね(拡大しないと読めない)。
また、オフラインで利用できない?点もマイナスです。
山中では電波が届くところは少なく、閲覧できる場所が限られてしまいます。
個人的には電子冊子のメリットはなく、紙の冊子のほうが良かったです。
以下の2点は改善して欲しいところ。
あとがき(総評)
「山と高原地図」は情報量が多く、丈夫で雨にも強い、定番の登山地図です。
そのシリーズから最新の情報が反映された「三浦アルプスの地図」が発売されたのは嬉しいですね。
これから三浦アルプスに挑戦しようとする人にも最適な地図になるでしょう。
ただし、三浦アルプスの核心部(森戸川源流と中尾根周辺)については、道迷いエリアとして詳細が記載されていません。そこが残念なところです。
電子冊子は個人的にはマイナス面が多く、通常の紙の冊子のほうが使い勝手が良いです。
山と高原地図 特別版 三浦・房総
出版社:昭文社 (2022/8/25)
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※2024年最新版が通常版として発売されました!
↓こちら。
山と高原地図 三浦・房総 2024 (山と高原地図30)
出版社:昭文社 (2024/3/8)
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紙ベースの地図とスマホのGPSアプリを併用しよう!
なお、スマホアプリ「山と高原地図」用の電子地図もリリースされているので(価格600円)、紙ベースの地図と併用するのがおすすめです。
山行計画を立てるときは紙ベースの大きな地図で、実際の山行時にはGPS機能が利用できるスマホアプリをメインで使用すると良いでしょう。
(スマホアプリ版は地図を拡大できるので、小さな文字も読みやすい!)
ただし、スマホアプリはバッテリーが切れると使えないので、予備として紙ベースの地図も忘れずに持って行きましょう。
コメント
こんばんは☆
ヤマノススメとコラボの地図ですか!いいなぁ~。
アニメ版でも出てきた飯能アルプスには行きました。
三浦アルプスもあるんですね。
凸村ぽちっていきますね♪
http://blog.livedoor.jp/keinosora/
Keiさん、コメントありがとうございました。
山と高原地図特別板「三浦・房総」に掲載されている山の中で、「ヤマノススメ」で登場しているのは、三浦半島の鎌倉アルプス、房総半島の鋸山、伊予ヶ岳・富山です。
三浦アルプスは描かれていないようです。
誤解されていたら申し訳ありません。