テント泊縦走用の登山靴を新調しました!
購入したのはスポルディバの「トランゴ アルプ エボ GTX」(冒頭の写真)。
革製の登山靴ですが、片足725g(EU42/26.5cm相当)と超軽量です。
先進的なデザインが特徴で、重い荷物を背負って歩くテント泊で必要な堅牢性と、軽量性を兼ね備えています。
しかも、トレッキングブーツ並の軽快な歩行性能もあるという、まさに、テント泊縦走に最適な登山靴といっていいんじゃないでしょうか!
スポルティバの登山靴はやや細身といわれいるようですが、標準的な足型の私の足にはピッタリでした!
登山靴選びば難しい!
実際に山に登ってみないとわからない!
と以前のブログで書いてきましたが…この登山靴は大丈夫でした。
日帰り登山でまだ2回しか履いていませんが、軽くてフィット感も良く、クッション性も以外とあって歩きやすくて、かなり気に入っています。
テント泊縦走に最適な登山靴とは?
テント泊縦走に最適な登山靴とは、どんな登山靴なのでしょうか?
登山用品店に行くと、登山靴の説明に「テント泊縦走用」とか「テント泊に最適」とか書かれています。
このような説明があればわかりますが、何も書いてない店もあります。
また、「テント泊縦走用」の近くに「岩稜登攀用」という登山靴が置いてあることが多いのですが、この2つの区別がよくわかりません。
中には「テント泊縦走・岩稜登攀」と、両方の用途が書いてあるものもあります。
縦走と登攀では全く歩き方が違うと思うんですが、両方の用途に向いているとは、いったいどういうことなのでしょうか?
テント泊縦走用と岩稜登攀用の違いは?
今回、登山靴の購入にあたり、あらためて調べてみたことを、自分なりにまとめておきます。
テント泊縦走用の登山靴の条件
テント泊縦走では重い荷物を背負って歩く必要があるので、ハイカットで堅牢、ソールが硬い登山靴が向いているとされています。
その他、長時間歩くことが多くなるので、歩きやすさ(ソールの反り具合とクッション性)も重要な条件となりますね。
【1】ハイカットで堅牢
ハイカットで堅牢性が必要なのは、足首を保護するためと云われています。
もっと具体的に云うと捻挫を防ぐためです。
テント泊装備の重い荷物を背負って、凸凹の登山道を歩いていると、足首がグギッと折れ曲がって、捻挫する危険性が高くなりますね。
そこで、剛性のある素材で足首までカバーすれば、足首が固定されて、捻挫もしにくくなるということです。
ただし、足首を固定すると歩きにくくなるので、各登山靴メーカーでは、足首を固定しながらも、歩行の妨げにならないように、足首が柔軟に動くような工夫をいろいろとしていますね。
【2】ソールが硬い
ソールの硬さが必要なのは、重い荷物と体重を支えるためと云われています。
もっとわかりやすく云うと、岩稜地帯や、凸凹の地形でも、足裏全体で体重を支えるためなんです。
岩稜地帯や凸凹の登山道を歩いていると、登山靴の一部分(つま先や、土踏まず)で体重を支える場面が多くなります。
この時にソールが柔らかくて曲がってしまと、足裏の一部分(つま先や、土踏まず)に体重がかかってしまいますね。
人間の足は足裏全体で体重を支える仕組み(土踏まずのアーチでつま先と踵に体重を分散する)になっているので、足裏の一部分(特に土踏まず)に体重をかけて長時間歩き続けると、疲労や故障の原因になってしまいます。
ソールが硬ければ(ソールが曲がらないので)、足裏全体で体重を支えることができるので、足の疲労も抑えることができるというわけです。
また、岩稜地帯を登る場合には、登山靴のつま先を引っ掛けて登る場面が多くなります。
この時にソールが柔らかくて曲がってしまうと、つま先に入れた力が逃げてしまうので登りにくいんです。
ソールが硬くて曲がらなければ、つま先に力が入れやすくて楽に登れます。
その分の重さも支えられる程度の、ソールの硬さが必要ということです。
【3】ソールの反り具合
【2】でソールが硬いという条件をあげましたが、ソールが硬い登山靴は岩稜登攀用に作らているものが多いので、ソールが平面的なものが多いのです。
ソールが平面的だと岩稜地帯は登りやすいですが、通常の登山道は歩きにくい。
ソールのつま先部分がある程度上に反っているほうが、足運びがスムーズになって歩きやすいですね。
【4】クッション性
テント泊縦走では長時間歩くことが多くなるので、登山靴のクッション性も重要です。
岩稜登攀用に作られた登山靴は軽量化のために、ソールが薄くてクッション性が低いものが多いので要注意です。
岩稜登攀用登山靴との違い
テント泊縦走用と岩稜登攀用の登山靴は、ハイカットでソールが硬いというところは共通なので、一見わかりにくいんですが、以下のような違いがあります。
テント泊縦走用 | 山道を歩くことがメイン |
テント泊縦走用 | 岩稜を登ることがメイン |
具体的にはソールの反り具合とクッション性が違います。
岩稜登攀用は岩稜を登ることがメインなので、ソールは平面的でアイゼンが付けやすく、軽量化のためソールが薄くてクッション性が低いものが多いようです。
ただし、最近ではスポルティバ社のトランゴシリーズのように、岩稜登攀とトレッキング性能を兼ね備えた、軽量モデルが普及してきているので、岩稜登攀用とテント泊縦走用の境いもなくなってきているようですが…
スポルティバ・トランゴシリーズについて
今回、購入した登山靴はスポルティバ社のトランゴシリーズのうちの一足です。
現在トランゴシリーズは下記の8種類が販売されています。
種類が多くて違いや用途がわかりにくいんですが、トレッキング~ライトアルパインに対応した、軽量モデルというカテゴリーになっているようですね。
下記の1~4は岩稜登攀とトレッキングの両方に対応した軽量登山靴。
テント泊縦走にも対応しています。
5はプロ向きの超軽量登山靴。6~7はトレッキング用ということです。
1.トランゴ S エボ GTX
スポルティバ・トランゴといえば…このトランゴ S EVO GTX が超有名ですね。
軽快な歩行性能と、岩稜帯にも対応するクライミング性能を両立させたブーツとして、新たなカテゴリーを開拓したベストセラー(片足700g)。
2.トランゴ タワー GTX
トランゴ タワー GTXはトランゴSエボの進化型モデルです。
耐久性、軽量性、防水性、歩行サポート機能など、すべてにおいてバージョンアップしたとのこと(片足700g)。
3.トランゴ キューブ GTX
トランゴ キューブGTXは、最新技術を集めた次世代のハイテクブーツです。
アッパーは透明なプラスティック素材?で覆われていて、縫製箇所がきわめて少なく、防水性・軽量性を両立しています。
このクラスの登山靴では超軽量(片足675g)。
4.トランゴ アルプ エボ GTX
トランゴ アルプ エボ GTXはハードなトレッキングや、アルパインクライミングに対応するトランゴシリーズで最もタフなモデルです。
アッパーには高級防水レザーを使用し、レザーならではの快適な履き心地が特徴です(片足725g)。
3000m級のハードな縦走に最適な一足。
上記4足の違いについては、好日山荘松本パルコ店のブログが参考になります。
好日山荘/松本パルコ店/この4足の違いについて
5.トランゴ ガイド エボ GTX
トランゴシリーズでも最軽量の登山靴。
岩場に強い頑強なソールを持ちながら、アッパーがやわらかく軽量に作られているのが特徴(片足565g)。
山岳ガイドや山岳救助隊員などプロが愛用する道具として評価が高いとのこと。
初心者向きではなさそうです。
6.トランゴ TRK GTX
ハイキングやバックパッキングに最適な超軽量マウンテンブーツ(片足590g)。
トランゴシリーズでは、最も安い価格帯です。
7.トランゴ トレック マイクロ エボ GTX
トランゴシリーズの基本機能である高いフィット性や、3Dフレックスシステムを継承したトレッキングモデル(片足650g)。
トランゴ アルプ エボ GTXの特徴
では、あらためて今回テント泊縦走用に購入した登山靴「トランゴ アルプ エボ GTX」を紹介していきましょう。
足幅は標準的、甲高はやや低め。残念ながら幅広甲高の足の人には合わないようですね。
でも「トランゴ S エボGTX」は合わなかったけど、「トランゴ アルプ エボ GTX」はちょうど良かったという書き込みも見かけたので、試してみる価値はあるかもしれません。
最近の登山靴はどれも足入れ感がよく、足全体を包みこんでくれる傾向がありますが、この登山靴は特に柔らかく包み込こんでくれる感じが最高です!
・グレイ×イエロー(GY)
・トープ×ブラウン(801800)
・ラスト×レッド(RR)
私が購入したのはトープ×ブラウン。
靴表面の革の色がトープ(茶色っぽい灰色)で、靴の外周を覆うラバーバンドの上部(革製)の色がブラウン(茶色)になっています。「LA SPORTIVA」のロゴが入っている部分ですね。
巷ではグレイ×イエローのものが多く出回っているようなので、少し地味目でレアなこの色が気に入りました。
神田・神保町付近の登山用品店を5軒ほど回ってみましたが、この色(トープ×ブラウン)が置いてあったのはICI石井スポーツ・登山本店だけでした。
先進的なデザインで軽量化
<靴紐をほどいたところ>
トランゴ アルプ エボ GTXの最大の特徴といえば、ベロ部分の素材とデザインです。
アッパー(靴の表面)にはペルワンガー社の高級防水レザー(2.2mm)を使用していますが、黒いベロの部分は、柔らかくて伸縮性がある防水素材を採用しています。
しかも、アッパーとベロのつなぎ目は平面的で、一体化したような構造になっているところが先進的です。
これは、どういうことかというと…
従来の登山靴は靴を広げて履きやすくするように、ベロの部分にマチが設けてあり、靴紐を結ぶ時には、ベロ全体を内側に折り畳む仕組みになっています。
しかし、トランゴ アルプ エボ GTXの場合は、ベロの部分に伸縮性があるのでマチは必要なく、その分軽量化をはかっているようです。
スポルティバのサイトによると、こうのように記載されています。
レザーアッパーと、縫い目を排したサブスキン・インジェクション製法を採用することで、さらなる堅牢性と防水性を実現しています。
サブスキン・インジェクション製法というのが、よくわかりませんが…
おそらく、サブスキンというのがベロの部分の防水素材のことで、インジェクション製法というのが、アッパー部分と一体化させた作りのことのようですね。
アッパーに2.2mmの防水レザーを使用しているわりに、片足725gという軽量化を実現しているのは、このしくみのおかげでしょう。
ただし、足首部分があまり広がらないので、登山靴を履く時には若干、履きにくさを感じます。
岩稜地帯と縦走に適したソール
<ソール(裏側)>
ソールはビブラムキューブを採用しています。
ビムラム・キューブというのは聞き慣れない名称ですが…
トランゴ キューブ GTXで採用された、インパクトブレーキシステムを備えたソールのようですね。
上の写真ではわかりませんが、滑り止めのブロックパターンが地面に水平ではなく、斜めにカットされている部分があり、これが衝撃吸収性とブレーキ性能を向上させるようです。
つま先部分にはクライミングゾーンもありますが、完全にフラットではなく、少し溝がきってありますね。これは岩稜地帯の登りだけではなく、歩きやすさも考慮しているところでしょう。
<ソール(横から)>
ソールのつま先部分が適度に上向きに反っているので歩きやすいですね。
ソールの踵部分は横から見ると薄めに見えたので、クッション性には期待していなかったんですが、以外と…思っていた以上にクッション性もありました。
よく見るとソールの踵の部分が、後ろのほうにかけて厚みが増しているようです。
<ソール(後ろ側)>
スポルティバのサイトによると、以下のように記載されて言います。
ミッドソールには圧縮ポリウレタンとEVAを適材配置。衝撃を効果的に吸収します。
EVAはポリウレタンより寿命が長い素材ですが、経年劣化しにくい反面、クッション性は低いといわれています。
すると、この圧縮ポリウレタンという素材がクッション性を高めているのでしょうかね。
その他の特徴
スポルティバのサイトから、その他の特徴を拾ってみました。
1)ベルワンガー防水レザーを使用
アッパーにベルワンガー防水レザー(2.2mm)を使用しています。
最高級とされるのペルワンガー社の防水レザーを使用することによって、堅牢性と防水性を高めているということ。
2) ラバーランドがブーツを守る
ブーツ外周を覆うラバーランドが、岩角などとの擦れからブーツを守ります。
これは…普通ですね。
3) ブロッカーフックを装備
ブロッカーフックを備えており、甲と足首の締め具合を変えられます。
これも普通ですね。たいていの登山靴には同様のフックが装備されています。
平たいフックに靴紐を挟んで止めておくだけなので、履いているうちに、ずれてくることがあります。
4) 3Dフレックスシステム
独自の3Dフレックスシステムが足首の自由度を高め、さまざまな地形に対応します。
ハイカットの登山靴のわりには、足首が柔軟に動いて歩きやすいですが……
果たしてこれで、捻挫から足首を守れるのだろうか?
5) インパクトブレーキシステム
ソールの接地部分を斜めにすることで、衝撃吸収性とトラクション力、ブレーキ性能を大きくUPさせたようです。
今のところは実感なし。
詳細は、スポルティバの製品ページで確認!
スポルティバ/トランゴアルプエボGTX
色:トープ×ブラウン
楽天で見る/クライムスワールド
Yahoo!ショッピング
色:グレイ×イエロー (GY)
Amazonで見る
楽天で見る/クレブスポーツ
Yahoo!ショッピング
楽天で見る(販売終了)
あとがき
この登山靴を履いて2回ほど山に登りました。
登った山はいつもトレーニングで登っている丹沢山域の塔ノ岳~丹沢山です。
岩場や鎖場はありませんが、けっこうハードなコースなので、ここで問題なければテント泊縦走で履いても大丈夫でしょう!
実は最初のうちは足首を曲げた時に、右の足首周りが少しあたって痛みがあったんですが、履いているうちにだんだんと足に馴染んできて気にならなくなってきました。
もう1~2回山に登れは、もっと足に馴染んできて更に快適になりそうな感じです。
実際に山に登って時の履き心地等は、また今度アップする予定です。
では、また来週!
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