
前回記事の続き。
2022年6月後半、富士見平小屋でテント泊した翌日、金峰山(*1)に登ってきたときのレポートです。
昭文社「山と高原地図」のコースタイムは往復6時間程度なので、朝6時頃に出発して12時頃に戻ってくる予定でしたが……
登りは足が重くなかなか進まず、なんとか金峰山の山頂までたどり着いたものの、下りもバテバテで富士見平小屋に戻ってきたのは17時過ぎ。
なんと、約11時間もかかってしまいました。(^_^;)
(*1) 山梨県側では「きんぷさん」、長野県側では「きんぽうさん」と呼ばれる、標高2599m
日程・登山口・登山コース
【日程】2022/6/26(日) ~ 6/27(月)
【メンバー】3名(私、T氏、Y氏)
【登山口】瑞牆山荘
登山コース(富士見平小屋~金峰山往復)

前日、瑞牆山荘地近くの無料駐車場に車を止め、約1時間で富士見平小屋へ到着してテント泊。
翌日、富士見平小屋から金峰山を往復してきました。
とくに危険な場所はありませんが、砂払ノ頭~金峰山の間は岩場の稜線歩きが続き、初心者にはやや厳しいコースです。
登山口へのアクセス方法、富士見平小屋やテント場の様子については、前回記事を参照のこと。
予定では1日目に瑞牆山、2日目に金峰山を往復するつもりでした。
しかし、テントを張ったあと水場まで往復しただけでもかなりキツイ (汗)。この調子だと2日連続の登山は厳しそうなので、今回メインにしていた2日目の金峰山に絞ることにしました。
コースタイムと所要時間
富士見平小屋~金峰山往復のコースタイム(昭文社「山と高原地図」)と、実際にかかった時間(所要時間)は以下の通りです。
時刻 | 区間(休憩時間) | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
06:10~07:20 | 富士見平小屋~大日小屋 | 1:00 | 1:10 | +0:10 |
07:35~08:30 | 大日小屋~大日岩(0:15) | 0:30 | 0:55 | +0:25 |
08:45~10:15 | 大日岩~砂払ノ頭 | 1:00 | 1:30 | +0:30 |
10:15~11:00 | 砂払ノ頭~金峰山小屋分岐(0:15) | 0:30 | 0:45 | +0:15 |
11:15~12:10 | 金峰山小屋分岐~金峰山(0:35) | 0:20 | 0:55 | +0:30 |
登り合計 | 3:20 | 5:15 | +1:55 |
時刻 | 区間(休憩時間) | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
12:45~12:30 | 金峰山~金峰山小屋分岐 | 0:15 | 0:45 | +0:30 |
12:30~14:05 | 金峰山小屋分岐~砂払ノ頭 | 0:20 | 0:35 | +0:15 |
14:05~15:25 | 砂払ノ頭~大日岩(0:10) | 0:45 | 1:20 | +0:35 |
15:35~16:15 | 大日岩~大日小屋 | 0:20 | 0:40 | +0:20 |
16:15~17:20 | 大日小屋~富士目平小屋 | 0:45 | 0:55 | +0:10 |
下り合計 | 2:25 | 4:15 | +1:50 |
起床~朝食~準備

翌朝5時頃に起床して、小屋前広場のテーブルで朝食を。
メインはフランスパンと3種類のソーセージ(チョリソー、ハーブ、普通味?)、食後のドリップ珈琲もかかせません。
朝食が済んだら、金峰山登山の準備をします。
今回はサブザックを持ってこなかったので、大型ザックを背負って登りました。 ザックのコンプレッションベルトを絞り、ペシャンコした状態で必要なもの(水、行動食、レインウエア、ヘッドライト、エマージェンシーキッドなど)だけ詰めて行きます。
往復6時間の長い工程ですが、途中に水場はないので、飲用水は十分持って行く必要があります。

水は合計4L(飲用水3L+山頂で珈琲を飲むための水1L)持った。
これが重かった!

おっと、トイレも忘れずに!
途中トイレは大日小屋のボロボロトイレと、金峰山の近くの金峰山小屋にしかありません。
出発前にスッキリさせて行きましょう!
富士見平小屋~金峰山(登り)

翌朝6時10分頃、金峰山に向けて出発。
金峰山への登山道は、富士見平小屋とトイレの間の道を登って行きます。


富士見平小屋~大日小屋までは(横八丁)、比較的緩やかな登りです。
鷹見岩分岐

7時10分頃、鷹見岩(たかみいわ)の分岐を通過しました。
「鷹見岩からの金峰山の眺めが素晴らしい」とのことですが、往復40分ほどかかるので、今回はパスして先へ進みます。

元気がある人は「鷹見岩」に立ち寄ってみてください!
大日小屋

7時20分頃、無人の大日小屋(だいにちごや)に到着。
大日小屋は登山道から少し下ったところにありますが、現在の状態が気になっていたので、少し寄り道をして様子を見に行ってきました(約15分)。
・水場はあるが飲用水としては不十分
・トイレは利用できる状態でなない
※詳しくは、前回記事を参照のこと。
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
富士見平小屋~大日小屋 | 1時間 | 1時間10分 | +10分 |

ここまでは、ほぼコースタイムで歩いてきたけど、かなりキツくなってきた。

大日小屋からの登り返しで、余計な体力も使ってしまった!

大日小屋~大日岩の間(縦八丁)は急な登りが続きます。
途中、鎖場が2カ所ほどあります。鎖が無くても登れますが、雨が降った後などは滑りやすいので注意が必要です。

2つ目の鎖場を登ったところ。
上部に見えているのは大日岩の一部ですが、登山地図上の大日岩の場所ではありません。

大日岩に着いたと思いきや…まだでした。

岩場を登りきると大日岩と書かれた標識がありました。
しかし、ここもまだ、登山地図上の大日岩の場所ではありません。

ここも大日岩じゃないのか…大日岩まで思ったより遠い。
大日岩

8時30分頃、やっと着きました。ここが登山地図上の大日岩(だいにちいわ)の分岐点です。
実際の大日岩は、金峰山(右方向)とは逆の方向(左方向)にあります。
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
大日小屋~大日岩 | 30分 | 55分 | +25分 |

やっと、大日岩に着いけど…

大日岩(分岐点)から左方向を見ると、木々の間から大日岩が見えますね。

おおー、大日岩だ!(以前きたことがあるので思い出した)

こちらが大日岩で、この先は小川山(1848m)に至る登山道が続いています。
景色が良い場所なので、しばらく休憩していきましょう(約15分)。

はぁ~、疲れた!

このペースだと、金峰山に辿りつけないかもしれない…

とりあえず、砂払ノ頭まで行ってみようか。
大日岩から砂払ノ頭までの登山道は樹林帯の中、比較的ゆるやかなアップダウンが続きます。
砂払ノ頭

10時15分頃、急登を登りきると一機に展望が開け、砂払ノ頭(すなはらいのあたま)に到着しました。
ここから金峰山山頂までは約1時間。岩場の稜線歩きです。
遮るものがないため、景色は抜群に良いですが、岩場の連続で歩きにくい。
とくに危険な場所はありませんが、足場が少ない大きな岩を乗り越えていかなければならず、気が抜けません。
途中、鎖場もあり、初心者にはやや厳しいコースです。
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
大日岩~砂払ノ頭 | 1時間 | 1時間45分 | +45分 |

ここまできたところで、既にヘトヘト~

だけど、景色が良いので少しずつ歩いていくか!
千代ノ吹上

砂払ノ頭から10分ほど。
右側が断崖になっている場所は千代ノ吹上(ちよのふきあげ)と呼ばれ、以下のような伝説が残っています。
昔々、麓に住んでいた大工夫婦が登拝のため、女人禁制だった金峰山に登ろうとして、妻の「千代」がこの断崖から滑落してしまいました。夫は神の祟りと畏れ、山頂の祠で必死に祈り続けました。すると、断崖の谷底から吹き上げられる風に乗って「千代」が戻ってきました。その後この場所が「千代ノ吹上」と呼ばれるようになったという話です。

印象的な伝説ですね!それだけ風が強いってこと?

稜線の先のほうには、金峰山のシンボルである五丈岩が見えている!
金峰山小屋分岐

11時頃、金峰山と金峰山小屋の分岐点に到着しました。
右方向が金峰山で左方向が金峰山小屋。ここまでくれば金峰山山頂までは、あと20分(のはず)です。
ここで少し腹が減ってきたので、行動食のひとくち羊羹を食べました(15分ほど休憩)。

ひとくち羊羹を食べたのは失敗でした!

あとで胃がもたれて気持ち悪くなりました。(^_^;)
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
砂払ノ頭~金峰山小屋分岐 | 30分 | 45分 | +15分 |


はるか遠くに見えていた五丈岩が、だんだん近くになってきた!


もうちょっとだ!ファイト!
金峰山


金峰山に到着!
12時10分頃、なんとか金峰山の山頂広場に到着しました。
富士見平小屋を出発してから約6時間。途中、何度か登頂をあきらめようかと思いましたが、ここまでくると登ってきて良かったです。
山頂の西端に聳える五丈岩は何度見ても圧倒させられますね。
どうして、こんなところに、こんなに大きな石が積み上げられているのか不思議です。
神の御業としか思えない……と、昔の人は考えたのでしょう。
高さは15mほどで、複数の岩が積み上げられたような構成になっています。 かつては、御像石(ごぞういし)、五丈石(ごじょうせき)と呼ばれていましたが、現在では、五丈岩(ごじょういわ)と呼ぶのが一般的。
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
金峰山小屋分岐~金峰山 | 20分 | 50分 | +30分 |

金峰山の最高地点は、五丈岩の東側に岩が積みあがっている場所です。
五丈岩がある山頂広場から往復すると4~5分かかります。
完全にヘトヘト状態したが、せっかくなので山頂標識がある場所まで行ってみましょう。

こちらが、金峰山の山頂標識です。

やや雲が多いですが、金峰山山頂からの展望は見事でした。
北西方面には八ヶ岳、その手前に瑞牆山(みずがきやま)が見えています。
瑞牆山はここから見ると、ずいぶん小さく見えますね。

南西方面には五丈岩がどっしりと。
その奥の方には南アルプスの山々がかすかに見えました。

五丈岩の左側(南方面)には富士山が見えますが、このときは、ちょうど山頂付近に雲がかかってしまいました。
金峰山~富士見平小屋(下り)
金峰山山頂で30分ほど休憩。
疲労のせいか? ひとくち羊羹で腹がもたれたせいか? 食欲はありません。
もう少し休んでいきたいところですが、登りに6時間ほどかかったので、下りも4時間ほどかかりそう。
のんびりしていると、帰る時間が遅くなってしまいますね。

12時45分頃、下山開始します。
砂払ノ頭までは素晴らしい展望が続きます。
登りで越えてきたピークはキレイなピラミッド型に見えますね。

元気であれば、テンションが上がるところですが…元気であれば…

13時30分頃、金峰山と金峰山小屋の分岐を通過。

14時5分頃、砂払ノ頭を通過。
ここまでは展望が良く、疲れてはいましたが、気持ちよく歩けました。
ここからは、樹林帯の中になるので、疲れが増してきそうです。
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
金峰山~金峰山小屋分岐 | 15分 | 45分 | +30分 |
金峰山小屋分岐~砂払ノ頭 | 20分 | 35分 | +15分 |

15時25分頃、大日岩(分岐点)まで下りてきました。
砂払ノ頭から大日岩までは、比較的緩やかな場所なので、楽勝かと思っていましたが、予想以上に時間がかかりました。

そういえば、朝5時頃に朝食を食べてから、羊羹ぐらいしか食べていない。

疲労の上、エネルギーも不足してきた!
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
砂払ノ頭~大日岩 | 45分 | 1時間20分 | +30分 |

16時15分頃、大日小屋に到着。
大日岩から大日小屋は急傾斜が多く、通過に時間がかかることは覚悟していましたが、コースタイムの2.5倍もかかってしまいました(スピードダウン)。
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
大日岩~大日小屋 | 20分 | 40分 | +20分 |

17時20分頃、富士見平小屋に到着。
大日小屋からの道は歩きやすく、多少スピードアップできました。
区間 | コースタイム | 所要時間 | 時間差 |
大日小屋~富士目平小屋 | 45分 | 55分 | +10分 |

ふー、やっと着いた!

ちかれたび~(秋田県の方言)

お疲れ山ー!
あとがき
暗くなる前に富士見平小屋まで戻ってきましたが、これからテントを撤収して、瑞牆山荘の駐車場まで戻ると、早くても19時頃になりそうです。
疲労も溜まっている中で夜道の運転は危険なため、富士見平小屋でもう一泊して、翌日帰宅することに。
食料は少し予備があったので問題はありませんが(富士見平小屋でも入手可能)……
反省点

今回は金峰山の往復に想定以上の時間がかかってしまい、帰宅日が1日遅れてしまいました。
原因はいろいろありますが、山行中はさまざまなトラブルも発生するため、予定通りに行かないのは、ある程度しかたないことでしょう。
それよりも、反省すべき点は「テント場に戻ってくる時間」を決めておかなかったこと。
そのため、登頂時刻の遅れにともなって、下山時刻も遅くなってしまいました。
「テント場に戻ってくる時間」を決めておけば、途中で登頂はあきらめて、予定通りに帰宅できたはずですね。
ちなみに、想定以上に時間がかかってしまった原因は、おそらく……
- コロナ禍の登山自粛での体力低下
- 3年ぶりのテント泊で身体が慣れていなかった
- 前日夜に飲んだアルコール(ビール、ワイン)の影響?
- 寝不足とエネルギー不足
- そもそも「山と高原地図」のコースタイムがおかしい?
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