
2022年6月後半、奥秩父の西部に位置する百名山「瑞牆山」と「金峰山」に近い山小屋「富士見平小屋」でテント泊してきました。
また、金峰山に向かう途中(富士見平小屋から約1時間)に建つ無人小屋「大日小屋」の現在の様子も見てきたので併せてレポートします。
大日小屋でもテント泊は可能ですが、小屋は廃墟寸前の状態でした…
瑞牆山:みずがきやま、標高2230m
金峰山:きんぷさん(山梨県側)、きんぽうさん(長野県側)、標高2599m
冒頭の写真は富士見平小屋へ向かう途中の展望地から見た瑞牆山です。
この場所から見る瑞牆山が迫力満点で、何回見ても最高です!
登山口と交通(周辺の概略図)

最寄りの登山口は「瑞牆山荘」です。
富士見平小屋までは約50分、その先の大日小屋までは、1時間程度の距離になります。
瑞牆山荘付近には水場はないため、富士見平小屋までの水は用意して行ったほうが良いでしょう。
山荘前にペットボトルの自動販売機がありますが、売り切れの可能性がありますね。
(トイレの手洗い場の水も利用できますが…)


登山口は瑞牆山荘の向かい側、右手に無料駐車場の入口があります。
電車&バスを利用する場合
シーズン中(4月~11月下旬)は、JR中央本線・韮崎駅より、瑞牆山荘行きの小型バス(山梨峡北交通/韮崎瑞牆線)が運行しています。
◯JR中央本線・韮崎駅
|(山梨峡北交通/韮崎瑞牆線)
◯瑞牆山荘
所要時間は約1時間10分(1日5~6便)、料金は2,100円。
バス時刻表は↓こちら
山梨峡北交通/韮崎瑞牆線
※期間外はタクシーを利用します。韮崎駅→瑞牆山荘(約50分、料金11,000円)
マイカー利用の場合
◯中央自動車道・須玉IC
|(車/約25Km)
◯瑞牆山荘(無料駐車場)
マイカーを利用する場合は、瑞牆山荘近くの無料駐車場(約100台)が利用可能です。
ただし、土曜日や連休初日は登山者が多く訪れるため、早朝に到着しないと止められないかもしれません。
(今回、無料駐車場に到着したのは日曜日の午前10時頃。満車に近い状態でしたが帰る車もあり、なんとか駐車できました)
駐車場


無料駐車場は車幅が狭く、大きめの車だとスペースが空いていても止められない可能性あり。
富士見平小屋

富士見平小屋(ふじみだいらごや)は、登山口となる瑞牆山荘(みずがきさんそう)から約50分の場所に建つ山小屋です。
登山口から比較的近く、テント泊初心者でも無理なく到着できるため、テント泊デビューにお手頃の場所になっています。
私も初のソロテント泊は、ここ富士見平小屋のテント場でした(2007年11月)。
また、2つの百名山である瑞牆山(みずがきやま)と金峰山(きんぷさん)の分岐点にあたり、ここで1泊すれば、2つの百名山に登れます。
- 瑞牆山まで:往復約3時間30分(登り2時間、下り1時間30分)
- 金峰山まで:往復約6時間(登り3時間30分、下り2時間30分)
連絡先 | 電話:090-7254-5698 |
営業期間 | 4月初旬~11月末 ※テント泊は通年営業 |
定員(小屋泊) | 22名(大部屋:最大12名、個室2名×5部屋) |
幕営数 | 100張(予約不要) |
幕営料金 | 1人1泊:1,000円 ※小屋が閉まっている場合は、小屋のドアに設置された入金箱に料金を投入 |
水場 | 小屋から往復10分(平成の名水百選) |
トイレ | あり |
風呂 | なし |
電波 | docomo 〇 / au △ / Softbank 〇 |
関連サイト | 富士見平小屋ホームページ 富士見平小屋(Facebook) |
山グルメとグランピング

こちらは、富士見平小屋の前に設置された看板(飲食メニュー)です。
ビーフカレーや牛丼の他に、天然きのこうどん、鹿三食ソーセージ、猪ソーセージ、鹿肉うどん、鹿肉山椒ピザなど、天然の食材をいかした料理が提供されています。
山小屋とは思えないほどの豪華さですね!
酒類も缶ビール、酎ハイ、ハイボール、日本酒(七賢)、焼酎、ウイスキー、ワイン(ボトル/グラス)と豊富です。
自家製のドライフルーツパンは行動食として人気があり、暑い日には湧き水で作ったかき氷(イチゴ/巨峰/ザクロ/白桃)が最高でしょう。
宿泊しなくても飲食できるので、山グルメ目的でここを訪れる人も多いのではないでしょうか。
また、最近流行りのグランピング(グラマラス(魅力的な)+キャンピング)も可能のようです。
富士見平小屋は現在8代目小屋番となる相川さん夫妻が運営。相川さんは元料理人、料理ライター、ミャンマーでの貿易の仕事など異色のキャリアを持っているそうです。小屋内の様子やグランピングテントなど↓こちらの記事で紹介されています。
ランドネ/いつか泊まりたい山小屋#13 奥秩父・富士見平小屋
富士山ビュースポット

富士見平小屋の名前の由来は、富士山が見えるなだらかな場所に建つ山小屋ということでしょう?
小屋の前に「富士山ビュースポット」という看板がありましたので確認してみると……

おーっと、本当に富士山が見えました!
この写真ではわかりにくので、アップにしてみると…

じゃーん!木々の間にちょうど富士山が見える場所がありました。
少し位置がずれると見えなくなってしまいますが、確かに富士山が見えました。
小屋名に偽りはありませんでした!(笑)
テントサイト

こちらが、小屋前の広場です。
テーブルとベンチが複数設置され、休憩や食事に利用できます。
テントサイトは、この奥の樹林の中に広がっています。

こちらは、小屋から見ると右側のテントサイト。
瑞牆山荘から登ってくると、最初に目に入るサイトです。
広い場所ではありませんが、小屋に近く水場にも近いためか、比較的多くのテントが張られていました。

こちらは、広場の奥の左側、ウッドデッキで整備されたテントサイトです。
2018年に訪れたときは、ウッドデッキはなく「ファミリー優先幕営コーナー」になっていましたが、現在はグランピング用のテントを張る場所になっているのかもしれません。
その先に「女性専用コーナー」という看板が設置されていましたが、はっきりと区画が分かれているわけでないようでした。

ここはテントサイトの中央部あたり。
この先にもテントサイトは広がっています。

我々(3名)がテントを張った場所は、先ほどのウッドデッキのテントサイトの奥のほうになります。
このときは、日曜日の昼前で比較的空いていたのですが、
前日の土曜日はかなり混雑していたようで、我々のテントのさらに後方の樹林帯の中にもテントが10張程度張られていましたね。
トイレ

トイレは小屋の右隣に設置されています。
男性用は小1+個室1、女性用は個室1です。
100張以上張れるテント場としては、トイレの個数が圧倒的に少ないですね。
おまけに臭いも強烈です(慣れたらそうでもなくなりました (^_^;)。
広いテント場、豊富な水場(後述)、山グルメとかなりいい感じのテントサイトですが、トイレだけが大きなマイナスポイントです。
せめて、男女ともにもう1室ずつは欲しいですね。
トイレットペーパーの予備が十分用意されていたので、その点だけは少しプラスです。

これは、トイレ前に設置された手洗い場です。
手洗い場がない山小屋は多いので、これは嬉しい設備です(飲用は不可。洗い物は禁止)。
水場

水場は小屋から瑞牆山荘方面に3分ほど下った登山道の脇にあります。
冷たくて美味しい湧き水で水量も豊富です。
小屋から往復すると10分程度かかってしまうので(登りが疲れます)、瑞牆山荘から登ってくる場合は、小屋に到着する前に汲んでいったほうが楽ですね。
水場へ行く道は2つあります。
1.小屋から登山道を3分ほど下った場所から水場へ至る横道
2.小屋の近くから水場へ直接行ける近道
※近道は道が悪く急登する場所があるので、登山道から水場へ至る横道のほうがおすめです。

水場のそばに、こんな標識(認定書)が立っていました。
この湧き水は環境省が定めた「平成の名水百選」に選ばれたとのことです。
すごいですね!
ただし、ここの水場が「平成の名水百選」というわけではなく、金峰山・瑞牆山源流全体が「平成の名水百選」として選ばれたようです。
大日小屋

大日小屋(だいにちごや)は富士見平小屋から金峰山方面に約1時間登った場所にひっそりと建つ無人小屋です。
登山道から少し下った場所にあるため、わざわざ立ち寄る人は少ないでしょう。
富士見平小屋よりも金峰山に近いので、金峰山に登る場合は幕営地の候補になりますが……
金峰山まで:往復約4時間15分(登り2時間30分、下り1時間45分)
飲用水の確保が難しく、トイレもボロボロのため、緊急時以外の幕営はおすすめできません。
小屋自体も廃墟寸前でした。
なお、大日小屋でテント泊する場合は、富士見平小屋に申し込みが必要です。
連絡先 | 電話:090-7254-5698(富士見平小屋) |
営業期間 | 通年 |
定員(小屋泊) | 10~15人ぐらい? |
幕営数 | 10張(予約不要) |
幕営料金 | 1人1泊:1,000円 |
水場 | 一応あり(小屋の脇に流れている沢水、水量は少ない) |
トイレ | 一応あり(ほぼ壊れている状態、扉もなし) |
風呂 | なし |
電波 | |
関連サイト |
小屋内の様子

大日小屋の入り口付近の様子です。
管理・手入れがされていないせいか、かなり老朽化が進んでいます。


こちらは客室ですね。
畳はボロボロ状態ですが、外から見たよりも以外と広い印象です。
雨風は十分に防げるので、避難小屋としては利用できますね。
10名ぐらいは余裕で泊まれそうです。
トイレ
トイレは小屋の裏の方にあります。
一応、個室が3室あるのですが、お見せできるような状態ではありませんでした。(^_^;)
扉はないし、床は抜けているし……
一応、写真は撮ってきたので、せっかくなので載せておきましょう。



3つの個室の中では、中央が一番ましな状態でした。
両側の2つは床板が剥がれ、男性なら小便は可能ですが、大の場合は……
し尿処理も行っていないので垂れ流し状態です。
使用したトイレットペーパー類は、持ち帰らなければなりませんね。
2007年に来たときは、こんなにひどい状態ではなかったはずですが……扉もあったと思います。
水場

小屋の脇に小さな沢が流れていて、そこが水場として利用できます。
ただし、6月末時点で水量は少なく、飲用水として利用するには不十分でしょう。
少し溜まっている水は澱んでいて、水質的に問題がありそうです。
大日小屋でテント泊する場合は、富士見平小屋で水を十分確保して運び上げる必要がありますね。
テントサイト

テントサイトは小屋の上方、登山道から少し奥に入った場所にあります。
石ころが多い小さな広場ですが、比較的平坦(水平)でテントサイト自体は快適に過ごせそうです。
シーズン中の土日祝日は、富士見平小屋のテント場が混雑するので、混雑を避けるには絶好の場所と言えるでしょう。
ただし、飲用水の確保とボロボロのトイレを利用する覚悟が必要です。(笑)
あとがき

今回は富士見平小屋でテント泊した翌日に金峰山に登りました。
標準コースタイムは往復約6時間程度なのですが、朝6時過ぎに出発して、富士見平小屋に戻ってきたのは17時過ぎ。
なんと、約11時間もかかってしまいました。(^_^;)
コロナ禍での山行自粛と、3年ぶりのテント泊で体が慣れていなかったせいかと思いますが……
夏山の本格的シーズンが始まるまでに、もうちょっと体力・脚力を回復しておきたいですね。
金峰山登山のレポートは次回記事に掲載しました。
コメント
1976年に大日小屋に宿泊した時は基本素泊まりなのに簡素なものだけど食事をだして
もらったなぁ
コメントありがとうございました!