久しぶりの丹沢・表尾根(おもておね)。
日帰りで行ける稜線歩きを楽しんできました。
丹沢・表尾根はヤビツ峠から歩くのが一般的ですが、ヤビツ峠行きバスの混雑を避けて、手前の蓑毛(みのげ)から歩きはじめるという、ひっそりとした穴場コースからのスタートです。
丹沢・表尾根~日帰りで楽しい稜線歩き
丹沢・表尾根(おもておね)は塔ノ岳(とうのだけ、1491m)の南東に連なる丹沢山塊で最も展望が開けた明るくて気持ちのいい尾根です。
登山コースはヤビツ峠から、二ノ塔(にのとう)~三ノ塔(さんのとう)~烏尾山(からす
おやま)~行者ヶ岳(ぎょうじゃがたけ)と、いくつものピークを経て塔ノ岳へ到達します。
二ノ塔の頂上へ着くまではあまり展望はありませんが、その先に素晴らしい展望が待ち受けています。
特に、三ノ塔の北端からの眺めが最高ですね!
これから歩く烏尾山~行者ヶ岳~塔ノ岳へと続く稜線が一望できるんです!
アップダウンが多く、ガレた急斜面、岩場、クサリ場などスリリングな場所もあります。
初心者向きではありませんが、日帰りで稜線歩きが楽しめて、縦走気分も十分味わえるという充実したコースです。
登山の起点となるヤビツ峠へ向かうバス便が少なくて混雑するのが難点ですが、
下記に紹介する蓑毛~ヤビツ峠コースから歩けば、バスの混雑は避けられるので、ゆったり、のんびりした気分で山歩きを楽しめます。
蓑毛~ヤビツ峠コースについて
蓑毛(みのげ)からヤビツ峠へ至るコースは、かつて、ヤビツ峠までバスが通っていない頃に歩かれていた道です。
歩きはじめ25分ぐらいは舗装路ですが、その後は山道に変わります。
急な場所はほとんどないのでお散歩気分で歩ける道です。
途中、名水百選に選ばれた秦野盆地湧水群(はだのぼんちゆうすいぐん)の一つである、春嶽湧水(はるたけゆうすい)を通過するので、おいしい水を補給することもできます。
蓑毛からヤビツ峠までは徒歩で1時間15分かかります。
現在このコースを歩く人は土・休日でも少ないため、蓑毛行きのバスが空いてるという、大きなメリットがあります。
(6時台の蓑毛行きバスに乗れば、ほぼ座れます)
※昭文社「山と高原地図」のコースタイムが1時間15分。慣れている人なら1時間ぐらいで歩けるコースです。
蓑毛行きのバスに乗るメリットは他にもあるので、以下にまとめてみました。
蓑毛行きバスの乗り場は、小田急線秦野駅のヤビツ峠行きバスと同じ場所です。
ヤビツ峠行きバスの混雑具合で、蓑毛行きバスに乗るという選択でもいいですね。
(座れそうならヤビツ峠行きバスに乗る)
日程・登山コース・交通
【日程】2018年11月21日(平日)、日帰り
【メンバー】単独
【登った山】二ノ塔、三ノ塔、烏尾山、行者ヶ岳、塔ノ岳
登山コース
歩行距離:16.6km(蓑毛~ヤビツ峠:2.9km)
スタートは蓑毛バス停(300m)から。ひっそりとした登山道をヤビツ峠(760m)まで歩きます。
ヤビツ峠からは、二ノ塔(1144m)、三ノ塔(1205m)、烏尾山(1136m)、行者ヶ岳(1180m)と、表尾根の山々を超えて塔ノ岳(1491m)へ到達します。
下山は塔ノ岳から大倉尾根を下るという一般的なコースです。
表尾根の途中から大倉方面へ下山できるルートも多数あるので(ほぼ樹林帯の中なので展望はありませんが…)、エスケープルートとして利用することもできます。
エスケープルート
表尾根からのエスケープルートは下記6ルートありますが、現在、③④⑥は難路(⑥は廃道?)とされているため、1.2.5が無難ですね。
1.二ノ塔尾根を下って菩提へ
2.三ノ塔尾根を下って大倉へ
3.烏尾尾根を下って戸川林道~大倉へ(難路)
4.??尾根を下って戸川林道~大倉へ(難路)
5.政次郎尾根を下って戸川林道~大倉へ
6.書策新道(かいさくしんどう)を下って戸川林道~大倉へ(廃道?)
私は4以外は歩いたことがありますが、また歩いてみたいルートは6だけですね。(^_^;
標準コースタイム
●蓑毛→ヤビツ峠:1時間15分
●ヤビツ峠→(表尾根)→塔ノ岳:4時間5分
●塔ノ岳→(大倉尾根)→大倉:2時間20分
合計すると7時間40分です。ちなみに、ヤビツ峠から歩く場合は合計6時間25分です。
交通(蓑毛までのアクセス方法)
電車&バス利用
電車&バス利用の場合は小田急線・秦野駅から蓑毛行きバスに乗車し、終点・蓑毛バス停で下車します。乗車時間は22分。
・バス乗り場はヤビツ峠行きと同じ場所です。
・ヤビツ峠行きバスも蓑毛に停車します。
蓑毛までの乗車時間は22分。
始発:平日7:10/土休日7:00
ヤビツ峠までの乗車時間は48分。
始発:平日8:25/土休日7:20
マイカー利用
蓑毛周辺には駐車場がないので、ヤビツ峠の駐車場(無料、約30台)、または、その先の菩提峠の料駐車場(無料、約30台)を利用します。
◯東名高速・秦野中井IC
|(県道70号/秦野清川線)
◯ヤビツ峠
|
◯菩提峠駐車場
蓑毛~ヤビツ峠
ここからは、丹沢・表尾根の山行レポになります。
蓑毛~ヤビツ峠へ至る柏木林道は登山で利用する人は少なくなってしまいましたが、見どころ満載なのでごゆっくりお楽しみください。(笑)
秦野駅・蓑毛行きバス乗り場
小田急線・秦野駅6:47発の蓑毛行きバスに乗車。
乗客は私を含めて8名ほどでした。
今日は平日ですが、土・祝日でも同じぐらい空いています。
上の写真は、秦野駅北口の蓑毛峠行きのバス乗り場です。
写真でもわかるようにヤビツ峠行きのバス乗り場と同じ場所で、並列して並ぶようになっています。
ヤビツ峠行きのバスは平日だと始発が8:25なので、まだ並んでる人はいませんが、土休日だと7時頃からけっこう並んでいます。(土休日の始発は7:44)
バス停のそばには登山届を投函するポストが設置されているので、バスを待っている間に登山届を出しておきましょう。
ちなみに、丹沢周辺に設置されている登山届ポストには、登山届の用紙も置かれています(上の写真)。
登山届用紙の右側、登山コースの記入欄には、予め主要な地点が印刷されているので、丸で囲んで矢印を引っ張るだけなので、面倒な登山コースの記入が簡単にできますね。
蓑毛バス停
約20分で蓑毛バス停に到着。正面は公衆トイレです。
右側道路沿いに公衆電話。上写真の左側手前に飲み物の自動販売機が数台設置されています。
ここで降りたのは私を含めて3名。他の2人も登山装備でした。
1人はバスを降りるとすぐに、登山口方面へ歩いて行ってしまいました。すぐにでも山に登りたかったのでしょう。(笑)
私はトイレを済ませてから、防寒用に着ていたダウンを脱いでザックにしまい、登山靴の紐を締め直し、トレッキンググローブをはめ、準備を整えてから出発です。
もう1人は私のすぐあとから出発したようですが…
その後、顔を合わせることがなかったので、ヤビツ峠ではなく、大山へ向かったのではないかと思います。
蓑毛~大山への道は大山へ向かう裏参道として、かつて、大山詣りが盛んだった頃によく歩かれていたようです。
大山は古くから霊山として篤く信仰をされ…隆盛を極めた江戸期には年間二十万の人々が来山。当時、民衆の間では伊勢詣りを始め、寺社に参拝することが大流行…その中で、江戸の町から二、三日の距離にある大山は気軽に参拝できることから、絶好の行楽地としても愛されたのです。大山に参拝した後には江の島などへ行楽する事が人気の行程とされていました。この様子は古典落語「大山詣り」の中にも表されています。平成二十八年四月には「大山詣り」が日本遺産に認定をされました。
出典:大山阿夫利神社/大山詣り
柏木林道
7:20頃、蓑毛を出発。ヤビツ峠へは蓑毛バス停前の車道を渡り、春岳沢(はるたけさわ)沿いに舗装された柏木林道を歩きます。
※春岳沢は蓑毛から下流が金目川(かなめがわ)と呼ばれます。
※ヤビツ峠行きのバスは車道を直進(上の写真の左へ)します。
柏木林道の入り口の右側にはボーイスカウトの少年が敬礼した像が立っています。
「東京少年キャンプ連合 発祥の地」と刻まれていますが…
調べてみると、東京少年キャンプ連合が提唱する教育キャンプが、蓑毛の地から始まったということらしいんですが…詳細は不明です。(^_^;
その右側に立っている石碑は…こちらも不明です。m(_ _)m
柏木林道の入り口の左側にはヤマビル注意の案内が貼られていましたが…
山ビルにご注意ください!
活動時期:5月~11月頃、雨中雨後の蒸し暑い時期が特に活動が活発です!
ヤビツ峠へ向かうルートでは山ビルにあったことはないので大丈夫でしょう。
ただし、昭文社「山と高原地図」に大山へ向かうルートの途中に「夏季ヒル注意」の記載がありましたので、大山へ向かう場合は要注意ですね!
みのげマス釣りセンター
舗装された柏木林道を登っていくと、右側に、みのげマス釣りセンターの養殖池?が見えてきます。
私は利用したことはありませんが、渓流釣りとBBQ(バーベキュー)が楽しめる、人気の管理釣り場のようです。
すぐ先の左側にマス釣り場に併設されたみのげ茶屋があります。
営業時間は9:00~16:00。そば、うどん、やきそば、カレーライス等の軽食の他に、釣った魚を塩焼きしてくれるサービスもあるようです(1尾150円)。
みのげ茶屋の脇からマス釣り場(春岳沢)へ下る道があります。
ちょっと寄り道していきましょう。
こちらがマス釣り場(春岳沢)の一部です。
シーズン中は家族連れで賑わうようですが、今はひっそり静かです。
ここから春岳沢の上流に向かって、BBQ用のかまどが設置されていました(下の写真)。
マスのつかみ取りも体験できるとのこと。
BBQ(バーベキュー)は予約制となっていますが、釣りをしながらBBQなんて贅沢な時間を過ごすのもいいですね。
詳しくは、みのげマス釣りセンターのホームページをご覧ください。
みのげマス釣りセンター
みのげマス釣りセンターからしばらく歩くと、大山の裏参道への道が右へ分岐します。
山ビル注意!の道ですね。
こちらは、まだ歩いたことがないので今度いってみようかな。
ヤビツ峠へは直進(左の道)します。
相生山 千元院/佛乗院
大山分岐のすぐ先に「相生山 千元院」という看板がある建物の横を通過します。
この建物は以前、割烹・蓑庵(みのあん)という囲炉裏料理?の店でしたが、いつのまにか宗教施設?に変わってしまったようです。
「相生山 千元院」とは何なのでしょう?近くまで寄って見ると、ガラス窓にポスターが貼ってありました。
「東京御府内八十八カ所 七十七番札所 佛乗院」と書かれていますね。
気になったので、調べてみると…
四国八十八ヵ所の巡礼というのは全国的に有名ですが、東京にも御府内八十八箇所という巡礼コースがあり、その77番目の札所(霊場)が「高嶋山 佛乗院(ぶつじょういん)」。
それが、1987年に神奈川県秦野市のこの地に移転されたようです。
なお、上記のポスターにはこんな文言もありました。
御朱印のお客様へ
佛乗院の御朱印は、千元院が兼務しております。…
うーん?
佛乗院が改名して千元院になったのかと思いきや…
佛乗院と千元院は同じ場所に併存しているということのようですね。
以前あった割烹・蓑庵(みのあん)は、千元院の住職が経営されていたようで、お店を閉店したあとに、千元院の施設(祈願の受付)として利用しているようです。
なるほど…
何故、東京から神奈川県秦野市に移転したのか?
佛乗院と千元院の関係は?
疑問は残りますが……先に進みます。
元宿
蓑毛から約10分。元宿(もとじゅく)の跡地を通過。
以前は多くの家々が立ち並んでいたようですが、関東大震災後の大雨による土砂崩れのために移転したという伝承があり、今では屋敷の跡だけが残っているとのことですが…
屋敷の跡なんてあったっけ?今度行ったときに確認してきましょう。
元宿跡地から少し先にある民家のようですが、以前は、手作りケーキなんかが食べられる、カフェ?のような店を営業していました。
店の名前は…利用したことがないので、記憶にありませんが…(^_^;
蓑庵(みのあん)といい、ここといい、登山客が少なくなったのが影響しているのか、だんだんさびれて行くようで寂しくなってきますね。
もう少し先に行くと、林道の左側に開けた平坦地が見えてきます。
ここは、みのげキャンプ場。残念ながら秦野スカウト会専用で一般には開放されていません。
春嶽堰堤
蓑毛から約25分。林道の右側に水色の鉄柵に囲まれた蓑毛集水場が見えてくれば舗装路の終点間近です。
ここが舗装路の終点です。
春岳沢の少し先に堰堤があり「春嶽堰堤」(はるたけえんてい)と書かれた標識と小さなベンチがある場所です。
以前この標識はなかったので、最近作られたものででしょう。
標識の下に赤字で書かれた「てくてくウォーク in 蓑毛」というのは、秦野市観光協会が蓑毛地区のせせらぎと緑と歴史を感じられる道として紹介しているお散歩コースです。
興味のある人は下記のサイトから地図がダウンロードできます。
➡秦野市観光協会/てくてくウォーク in 蓑毛
秦野名水・春嶽湧水
林道はこの先、春岳沢(はるたけさわ)にかかる木橋を渡って山道へと続きますが、この場所は環境省の名水百選に選ばれた、秦野湧水群(はだのゆうすいぐん)のひとつ、春嶽湧水(はるたけゆうすい)が湧き出ている場所なのでゆっくり休憩していきましょう。
春嶽湧水の湧き出し口は登山道の左側、春岳沢に降りたところにあります。
以前は上の写真の赤色囲いの「湧き出し口」という案内が書かれていなかったので、何処にあるか知らなかった人も多いんじゃないでしょうか。
こちらが春嶽湧水の湧き出し口です。現在は「秦野名水 春嶽湧水」という案内板があるのですぐわかりますが、以前はこの案内板もなかったので、ここが名水の湧き出し口だなんて気づかなかったでしょう。
案内版には次のように書かれています。
秦野名水 春嶽湧水
この湧水は、昭和三十年に施工した東監視水道の水源から引いてきています。
水質は、硬度が低い軟水です。消毒はしていません。
天然と地下水を取水しているため、季節によっては水枯れすることがあります。
案内板には消毒はしていませんとありますが、ここの水は飲んでも大丈夫!
せっかくなので持ってきたシェラカップで一杯飲んでいきましょう。
うーん、旨い!
ちなみに、2016年11月に撮った写真を載せておきます。
案内版はなく下水が流れ出しているだけみたいですね。(^_^;
髭僧の滝
さて、春岳沢を渡ったところから山道になりますが、すぐに髭僧の滝(ひげそうのたき)への分岐を示す標識があります。
春岳沢沿いに20分程度登ったところに、落差10mぐらいの滝があるのですが、沢沿いの道で崩落しそうな場所もあるので、初心者はやめておいたほうが良いでしょう。
どんな滝か見てみたい!
という人のために、2008年12月に撮った写真を載せておきます。
現在は滝のそばに下記の案内版が立てられているようです。
髭僧の滝
……その名称は、昔、法蓮寺にいた、胸まで伸びる長い髭をはやした春嶽という僧侶が、ここで修行したことに由来するとの伝承があります。
名前の由来は長い髭をはやした僧侶が修行した滝ということなんですが…
その僧侶の名前が春嶽。春岳山、春岳沢の旧字「春嶽」と同じ名前なんですね。
なんか、怪しい…
春嶽堰堤から2-3分。ヤビツ峠への道が分岐します。
ヤビツ峠へは右の急な階段状の登山道を登っていきますので、うっかり直進しないように!
この先、標識はヤビツ峠付近までありませんが、迷いそうな場所はありませんのでご安心を。
その後しばらくは谷沿いの細い道を登っていきます。
谷側が切れ落ちているので慎重に! バランスを崩さなければ問題ありません。
春嶽堰堤から約15分。谷沿いの道から離れて樹林帯の中の道を登って行きます。
春嶽堰堤から約40分。ヤビツ峠に近くなってくると、岩が露出した場所が多くなります。
春嶽堰堤から約50分。露岩地帯を抜けて鉄製の手すりが設置された場所を通過します。
ここまでくればヤビツ峠はもうすぐです。
この先の木段を登りきると…
ベンチが置かれた広くて平坦な広場に出ます。
テントを張るには絶好の場所なんですが…ここは幕営禁止です。残念!
右方向に登り道がありますが、そちらは大山へ続くイタツミ尾根へ向かう道。
ヤビツ峠は広場の先の階段を降りていきます。
ヤビツ峠
この階段を降りたところがヤビツ峠です。
ヤビツ峠のバス停のちょうど裏側にあたりますね。
はい。ヤビツ峠のバス停に到着しました。
蓑毛バス停~春嶽堰堤までは約25分。春嶽堰堤~ヤビツ峠までは約50分。合計1時間15分の道のりでした。
はじめてこのコースを歩いた時はここまで長く感じて、クタクタになってしまった記憶がありますが、慣れればお散歩コースです。
これから向かう丹沢・表尾根へのウォーミングアップにちょうどいいんじゃないでしょうか。
とは言っても一般的にはここがスタート地点。丹沢・表尾根の登山口はここから車道を約25分下ります。
まだまだ先は長いです。(^_^;
[続く…]
コメント