テント泊登山を安全&快適に楽しむためには、ルールやマナーを守ることが大切です。
しかし、初心者の場合は知識不足のせいで、他人に迷惑をかけたり、注意されて不快な思いをしたり、思わぬトラブルに遭遇したりするケースがよくあります。
なるべく、そのような状況は避けたいですね。
そこで、今回はテント泊初心者が知っておくべき基礎知識(ルール&マナー、テント場の利用方法など)を一通りまとめてみました。
Q1:テントを張れる場所は?
- Qテントを張れる場所は決まっているの?
- A
主要な山域ではテントを張って良いのはキャンプ指定地だけです。
日本の主要な山域では、安全性や自然環境保護のため、テントを張って良い場所(キャンプ指定地)が定められています。
つまり、キャンプ指定地以外の場所にテントを張ってはいけないということ。
ただし、天候悪化や体調不良などで、暗くなるまでにキャンプ指定地に辿りつけないなどの緊急時は例外です(緊急の場合はOK)。
なお、山の中でテントを張れる場所のことを、一般に「テント場」「テン場」と呼びます。
Q2:テント場(キャンプ指定地)は有料?料金は?
- Qテント場は有料? 料金は?
- A
ほとんどのテント場が有料です(料金は1,000~2,000円程度)。
テント場によっては無料の場所もありますが、ほとんどのテント場は有料です。
料金は場所によりますが、1,000~2,000円程度(1人1張り)が目安です。
なお、2020年以降、テント泊の料金(幕営料金)は年々値上がりしています。
Q3:テント場は予約が必要?
- Q予約が必要な山小屋が増えているけど、テント場も予約が必要?
- A
2020年以降、予約が必要なテント場が多くなってきました。
以前はほとんどのテント場が予約不要(予約できない)でしたが、コロナ禍の影響を受け、現在多くのテント場が予約制になっています。
テント泊登山を計画する場合は、事前に宿泊予定のテント場の営業状況と予約の有無を確認し、必要であれば予約をおこないましょう。
Q4:テント場の利用方法は?
- Qテント場の利用方法を教えて?
- A
受付でテント泊の申し込みをおこない、幕営料金を支払います(前払い)。
通常は近くの山小屋がテント場を管理しているので、山小屋の受付でテント泊の申し込みをおこないます。
その際、申し込み用紙(または宿帳)に必要事項を記入し、幕営料金を支払います。
お釣りが要らないように、なるべく小銭を用意しておきましょう。
申し込みが済んだら、テントを設営してOKです。
- 受付を済ませてからテントを設営するのが原則
- テント場と受付が離れている場合は先にテントを張ってもOK
ただし、テント場によっては独自のルールがあるので指示にしたがうこと。
テント場と受付が離れている場合は、テントを設営してからテント泊の申し込みをおこなってもOKです。
Q5:テント泊申し込みの必要事項は?
- Qテント泊の申し込みに必要な事項を教えて?
- A
氏名、住所、緊急時の連絡先、人数、泊数が基本。その他の必要事項は場所による。
場所によって異なりますが、下記のような項目が一般的です。
基本 | 氏名、住所、緊急時の連絡先(電話番号)、人数、泊数 |
その他 | 同行者の氏名、予定コース(登山口、前泊地、目的地の名称)、 テントの数、テントの色など |
申し込みに手間取らないように、緊急時の連絡先、同行者の氏名、予定コースなど、すぐに記入できるように準備しておきましょう。
登山計画書を作成して(必要事項を記入しておく)、持ち歩くのがおすすめです。
Q6:テント場の受付時間は?到着が遅くなっても大丈夫?
- Qテント場の受付時間は?
- A
受付時間はとくにありません(常識的には日中~18時頃まで)。
テント場の受付時間はとくに設けていない場所がほとんどです。
常識的には、日中~18時ぐらい(暗くなる前)なら問題ないでしょう。
- Q到着が遅くなっても大丈夫?
- A
15時~16時頃までにテント場へ到着できるように計画しよう。
16時過ぎると山小屋は夕食の準備や後片付けなどで忙しくなります。
また、到着が遅いとテントを張るスペースが確保できない可能性があり、暗くなるとテントの設営にも苦労します。
到着が遅くなっても、テントスペースが空いていればテント泊は可能ですが、15~16時頃までに到着できるように計画しましょう。
Q7:テント場内なら自由にテント張ってもいい?
- Qテント場内なら自由にテントを張ってもいいの?
- A
場所指定がないテント場では、好きな場所に自由に張ってOKです(注意点あり)。
一部ですが、テントを張る場所が指定されるテント場があります。
場所指定がないテント場なら、基本的には好きな場所に自由に張ってOKです。
ただし、以下の点に注意してください。
- 隣のテントとある程度間隔をあける(スペースが十分ある場合)
- 必要以上に場所を専有しない
- 高山植物が生えている場所は避ける
上記以外は、テント場のルールに従うこと。
Q8:近隣のテントに挨拶は必要?
- Q近隣のテントに挨拶はしたほうがいいの?
- A
ある程度間隔があいていれば、とくに挨拶する必要はありません。
近隣のテントとある程度間隔があいていれば、とくに挨拶する必要はありません。
空いているスペースがなく、他のテントのすぐ近くに張る場合は、一声掛けておくとお互い気持ちよく過ごせます。
こんにちはー、ここにテントを張っても大丈夫ですか?
どうぞ、どうぞ!
ただし、テントの中で休んでいる人に、わざわざ「すみません!」などと呼びかけるのは避けたほうが良いですね。
近隣のテントの人が外にいるときや、外に出てきたタイミングで、声を掛けるようにしましょう。
Q9:テントの外に荷物を置いても大丈夫?
- Qテントの中が狭い!テントの外に荷物を置いても大丈夫?
- A
食材以外は外に置いてもOK! (おすすめはしない)
食材はテントの中に置くのが原則です(食材の匂いにつられて動物が寄ってくるのを防ぐため)。
その他の荷物はスペースが空いていれば外に置いてもかまいません。
ただし、盗難のリスクや、夜中に動物がいたずらする可能性があるため、おすすめできません。
Q10:テント場にゴミ箱はあるの?
- Q食事や調理で出たゴミは捨てられる? ゴミ箱はあるの?
- A
テント場にゴミ箱はありません。ゴミは持ち帰るのがルールです。
通常、山のテント場にゴミ箱は設置されていません。
ゴミはすべて持ち帰るのがルール。麺の茹で汁を捨てるのもNGです。
テント泊の食事は、なるべくゴミが出ないような食材、食料を選びましょう。
レトルトやフリーズドライ食品の外箱は外して持って行くのが基本です。
ただし、山小屋で購入した飲み物の空き缶やペットボトルは、山小屋で回収してくれます。
Q11:水場で洗いものをしていいの?
- Q水場で洗い物をしていいの?
- A
原則NGです。
原則的にはNGですが、自然環境に影響を与えない程度ならOKです。
たとえば、水筒やカップをゆすいだり、手ぬぐいやタオルを軽く水洗いしたり。
ただし、短時間で済ませること。
水場を利用したい人が並んでいるような状況で、水場を専有してはいけません。
※自然環境に存在しないものは流さないこと。
Q12:テント場に水場がない!水の入手方法は?
- Q水場がないテント場では、 水はどうすればいいの?
- A
通常はテント場を管理する山小屋で購入可能です(要確認)。
水場がないテント場はけっこう多いです(とくに北アルプス)。
その場合、テント場を管理している山小屋で飲用水を販売している(1L:100円程度)ことが多いので、たいていの場合は問題ないでしょう(事前に確認しておくこと)。
問題はテント場の近くに山小屋が無い場合ですね。
近くで水が入手できない場合、テント場に到着する前に必要な水(1泊分+次の水場までの飲用水)を確保して、持ち運ばなければなりません。
Q13:テント場で焚き火はできる?
- Qテント場で焚き火はできる?
- A
原則禁止です。
山中では山火事の危険があるため、焚き火は原則禁止です。
直火はもちろん、焚き火台などを利用するのもNGです(火の粉が飛ぶため)。
ただし、テント場によって、焚き火台の使用が許可される場合もあるようです。
Q14:テント内での火器使用は?
- Qテント内で火器を使ってもいいの?
- A
火器はテント外で使用するのが原則ですが、雨天強風時はテント内でも使用可。
火器はテントの外で使用するのが原則です。
テント内で火器を使用すると、一酸化炭素中毒やテントに火が燃え移る危険性があるからです。
しかし、雨や強風など外で調理できないケースは多々ありますので、以下2点に注意して使いましょう。
Q15:テント泊に消灯時間はあるの?
- Q山小屋には消灯時間(21時頃)があるけど、テント泊にも消灯時間はあるの?
- A
消灯時間(21~22時頃)が規定されている場所もある。
テント場によりますが、消灯時間(21~22時頃)が規定されている場所も多いです。
消灯時間が規定されていない場合でも、夜遅くまで騒がないのがマナーです。
21~22時頃までに明りを消して、睡眠体制に入れるように心掛けましょう。
なお、テント場は意外と話し声が響くので、明りを消すだけでなく、話し声にも注意してください。
あとがき
テント泊登山のルール&マナーは、実際にはあいまいな部分も多いです(グレーゾーンが存在する)。
ここで紹介したルール&マナーも、考え方が異なる人がいるかも知れません。
しかし、重要なのは以下の3点です。
- 安全性の確保
- 自然環境の保護(自然を壊さない)
- ゆずりあいの精神(コミュニケーションも大事)
常に安全性の確保と自然環境の保護を心がけ、譲り合いの精神も忘れずに!
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