クマ対策の続きです。今回は対処編になります。
実際にクマに遭遇した時の対処方法を、状況別(クマに遭遇した時/クマが接近してきた時/クマが突進してきた時/クマが襲ってきた時)にまとめました。
もう、クマに出会っても大丈夫?
クマ被害を避けるには?
クマ被害を避けるためには、クマと遭遇しないことが最も重要!
ということで、クマに遭遇しないための予防方法を前回記事にまとめました。
しかし、山に入ったら完全な予防方法はないというのが実情です。
山に行かなければ…
山に行かなければ、クマに遭遇することもないのですが…
でもやっぱり、山には行きたいですね。
山に行かないとしたら、この先何を楽しみに生きていけばいいのでしょうか?
山の楽しさを知ってしまったら山に行かない人生なんて考えられませんね。(^_^;
クマに遭遇しても…
クマに遭遇したからといって必ず襲われるというわけではありません。
正しい対処方法を知っていれば、ほとんどの場合はクマの方から立ち去っていくようです。
たとえクマが襲ってきたとしても、正しい対処方法を知っていれば、被害も最小限におさえられるはずです。
では、実際にクマと遭遇した時はどうすればいいのか?
クマが襲ってきた時に助かるための最善の方法は?
ということで、クマ対策の核心部分について、私が調査した結果を自分なりにまとめてみました。
クマに遭遇した時の対処方法は、以下の2冊の書籍と知床財団のサイトを参考にしています。
・熊がひとを襲うとき/著者:米田一彦(つり人社)
・クマに会ったらどうするか/語り手:姉崎等(ちくま文庫)
・知床財団>ヒグマ対処法
クマに遭遇した時の対処方法
クマに遭遇した時には落ち着いて対処することが重要です。
クマはむやみに人間を襲うことはありませんが、危険を感じれば攻撃してくることもあります。
慌てず、騒がず、クマを刺激しないように対応できるように、以下の対処方法をしっかりと頭に叩き込んでおきます。
1. クマに遭遇した時
クマに遭遇した時に絶対にやってはいけなことが「背中を向けて逃げる」ことです。
クマは逃げる物を追う習性があるので、絶対に逃げてはだめ!
クマは人間より早く走れるので、逃げ切れる可能性はほとんどありません。
落ち着いて以下の行動をとりましょう。
●静かに立ち止まり、クマの動きを観察する。
- 遠くにいるだけなら心配なし
- 一頭か子連れかも確認。子連れの場合は危険性が高くなる
- 至近距離で遭遇した場合でも、慌てず、騒がず、クマを驚かさないこと
<クマがこちらに気付いていない場合>
●静かに、ゆっくりその場を離れるか、クマが立ち去るのを待つ。
<クマがこちらに気付いている場合>
●クマから目を離さずに、ゆっくり後ずさりでその場を離れる。
2. クマが接近してきた時/立ち上がった時
●クマから目をそらさず監視する
目をそらすとクマに隙きをみせることになり、また、クマにも弱い相手とみなされ攻撃される危険があります。
●木陰に身を隠す
近くに木や身を隠せる場所があれば、ゆっくりと移動して動かないこと。
動かななければクマが見失う可能性があります。
(頭、手足を動かさなければ、クマは人間を認識できないようです。)
<身を隠す場所がない場合>
●クマとの間に障害物になるようなものがあれば、突進に備えてゆっくりと移動する。
●ゆっくりと両腕をあげてふり、体を大きくみせる。
<クマが立ち上がった時>
クマが立ち上がるのは周囲の状況を確認するための動作です。
攻撃動作ではないので慌てる必要はありません。
3. クマが突進してきた時
クマが突進してきても多くの場合は威嚇行動です。
あわてずに落ち着いて対応することが大切です。
<クマが突進と後退を繰り返す/激しく地面を叩く>
●威嚇しているだけなので落ち着いて対応する。
●クマから目を離さずに、ゆっくり、後ずさりでその場を離れる。
<クマが突進を止めない場合>
●身を隠す場所もなく、障害物になる物もない場合は強気で威嚇する。
- 大声を出して威嚇する
・ウォーとか、ワァーとか、バカヤローとか
・キャーという悲鳴は、逆に弱さとみなされる危険あり? - 物を振り回す
・ストック、傘、帽子、ベルト、木の枝、等
・傘は開くと効果的
・クマは蛇を嫌うので、蛇に似た縄やベルトを振り回すのが効果的 - 何もなければ手を振り回す
4. クマが襲ってきた時
万が一クマが襲ってきた場合は、下記の対応で被害を最小限に抑えます。
●反撃しない
下手に反撃しないこと。
クマと戦って撃退したケースはありますが、一般の人が戦って勝てる相手ではありません。
中途半端に反撃すると返ってクマを逆上させる恐れがあります。
●防御姿勢をとって攻撃に耐える
すばやく下記の防御姿勢をとって熊の攻撃から身を守ります。
一見、無抵抗でやられ放題のような気がしますが、クマは抵抗しなものは襲わない習性があるため、襲われても被害の重症化を防ぐ効果があります。
●リターン攻撃に注意
クマは動かなくなった人間を、遠くから長時間監視している場合があります。
クマが立ち去った後も注意が必要です。
●クマが立ち去った後
クマが立ち去ったことを確認したら(クマが監視している可能性があるので)、素早くその場を離れ、一旦、身を隠したほうが良いでしょう(じっとして動かないこと)。
安全を確認したら、ゆっくりとその場を離れます。
クマ撃退スプレーについて
クマ撃退スプレーは、逆上したクマでも撃退できる効果絶大な製品のようです。
しかし、クマを撃退するには顔面に命中させる必要があります。
噴射時間が短い(5秒前後)ので、突進してくるクマの顔面に命中させるのは難しいでしょう。
しかも、大きくて重い(300g前後)ので登山に携帯するには不向きですね。
クマ対策の定説・俗説は正しいか?
最後にクマ対策の定説・俗説についてまとめてみました。
ネット上でも世間一般でも正反対の対処方法が玉石混交しています。
いったい何が正しいのでしょうか?
死んだふりは危険?
昔からよく云われている「熊に会ったら死んだふり!」というのは、今ではほとんど危険な行為とされ否定されています。
主な理由は以下の通りです。
- 無抵抗で地面に横たわったら、熊に急所を襲われて致命傷になる
- クマ熊は死肉も食べるので、死体と勘違いされて補食される恐れがある
しかし、死んだふりをして、助かったケースは多くあります。
前述のクマが攻撃してきた時の防御姿勢(うつぶせ首ガード法)というのも、動かないという意味で死んだふりと同じ効果があります。
正確に言うと、死んだふりに首、顔、腹を防御する姿勢を足したものです。
そういう意味では、死んだふりは状況によっては有効だと云えます。
ただし、ナタ、カマ等で反撃した後に死んだふりをしても、逆上した熊の攻撃性は収まらず、致命傷を受けるケースが多いようです。
木に登るのは自殺行為?
クマは木登りが得意なので、木に登るのは自殺行為だ!とする一方で、以下のような反対意見もあります。
- 木の上ではクマも態勢が悪く、攻撃力が弱まる
- 木の上からの方が反撃に有利
木に登って助かったケースもありますが、クマも後を追いかけて、登ってくる場合が多いようです。
木の上からクマを撃退するつもりであれば有効と言えるでしょう。
ただし、木の上から転落して怪我をするケースもあるので、あまり推奨できません。
転落した拍子にクマにぶつかりクマが驚いて逃げたという、ラッキーなケースもありますが…(^_^;
ザックや食料を置いて逃げる?
クマに追われたらザックや食料を置いて行くと、クマがそちらに気を取られるので逃げる時間が稼げるという説「物置法」というのもあります。
しかし、クマは動かないものに興味を示さないので「物置法」は役に立たない場合が多いようです。
もしも、食料を置いてくことでその場をしのげたとしても、クマがそういう習慣を身につけてしまうと、次の被害者が生まれる可能性もあり推奨されない方法です。
あとがき
クマは怖いですね。でも山は素晴らしい!
クマを怖がってばかりだと山の楽しさも半減してしまいます。
クマの正しい対処方法を身につけて、心置きなく山を楽しみたいものですね!
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