テント泊にはトラブルがつきものですが、よくあるトラブルとその対処方法を知っていれば大丈夫!
トラブルを未然に防ぐことも、あわてずに乗り切ることもできます。
今回はテント泊でよくあるトラブルと対処方法のPart2、生活/行動/就寝編です。
1.テントの中で荷物が散乱!
- Qテントの中で荷物が散乱してしまう!整理整頓のコツは?
- A
ザックから荷物をすべて出して、テントの端にきれいに並べておくこと。
テント生活では整理整頓を意識していないと、すぐにテントの中で荷物が散らかってしまいます。
すると、必要な物がすぐに見つからなかったり、メガネなど壊れやすいものを押し潰したりするトラブルも発生しがちです。
テント内の整理整頓のコツは、以下の手順を実行すること。
- STEP1ザックの中身は全部出す
- STEP2テントの端にきれいに並べて置く
(ザックにパッキングする順番に並べるのがおすすめ)
- STEP3使い終わったら元の場所に戻す
この方法なら、必要な荷物がすぐに取り出しやすく、荷物が散らかることを防げます。
くわしくは↓こちらをご覧ください。
2.テントの中に入ると靴下が臭い!
- Qテントの中に入ると登山服や靴下の臭いが気になる!臭い対策は?
- A
消臭にはハッカ油スプレーがおすすめです(虫よけ+消臭)。
行動中は気にならなくても、テントの中に入ると登山服や靴下(ソックス)の臭いが気になることがあります。
着替えれば済むことですが、テント泊登山では軽量化のために荷物は最小限、余分な着替えは持っていけませんね。
衣類の消臭剤(ファブリーズなど)を小分けして持って行く方法もありますが、やはり余計な荷物が増えてしまいます。
そこでおすすめなのがハッカ油スプレーです。
ハッカ油スプレーには虫除け効果があることが知られていますが、実は消臭効果もあり一石二鳥のアイテムです。
臭いが気になる部分にシュっとスプレーすればOK、臭いの元を消し去ります。
くわしくは↓こちらをご覧ください。
3.テントの内側が濡れる!結露とは?
- Q雨が降っていないのに、テントの内側が濡れるのは何故?
- A
それは結露という現象。テント内と外気温の差が大きいと発生します。
結露はテント内が暖かく外気温が低いときに、テント内の水蒸気がテントの内壁で冷やされて水滴になる現象です。
寒い季節や気温が低い場所で発生しやすくなります(夏でも外気温が低いと発生しやすい)。
- Q結露を防止する方法は?
- A
テント内と外気温の温度差を小さくする
テント内と外気温の温度差を小さくすることで結露の発生を防げます。
具体的には下のような予防方法があります。
結露の予防方法 | 説明 |
---|---|
ダブルウォールテントを使用する | テント本体とフライシートの間に空気層ができるため、テント内と外気温の差がすくなくなる。 |
フライシートの4辺をしっかり張る | テント本体とフライシートの間に空気層をしっかりと保つ。 |
風通しをよくする | テント内と外の気温差がなくなる。 |
ただし、寒い時期のテント泊では、テント内の温度を外気温に近づけると凍えてしまうので、完全に防止する方法はありません。
- Q結露したらどうすればいいの?
- A
結露は速乾タオルで拭きとります。就寝中はシュラフが濡れないようにシュラフカバーを利用するの基本です。
結露を放っておくと水滴がテント内に落ちてきて、荷物やシュラフが濡れてしまいます。
速乾タオルを準備しておき、結露が発生したら早めに拭き取るようにしましょう。
就寝中は結露を拭き取ることができないので、シュラフが濡れないように、シュラフカバーを利用するのが基本です。
なお、結露の原因と対策の詳細は↓こちらをご覧ください。
4.突然の雨でテント内がびしょ濡れに!
- Q突然の雨!テントの入口を開けたままだったのでテント内がびしょ濡れに!
- A
テントを離れる場合は、テント本体とフライシートのファスナーを閉めておきましょう。
山の天気は変わりやすいもの、さっきまで晴れていても、突然雨が降り出すことはよくあること。
そんなとき、テントの入口を開けたままだと、テント内に雨が吹き込んでびしょ濡れになってしまいます。
短時間でもテントを離れる場合は、必ずテント本体とフライシートのファスナーを閉めておきましょう。
5.テントを離れるときは盗難に注意!
- Q盗難が心配!長時間テントを離れていても大丈夫?
- A
貴重品は持ち歩き、テントには鍵を!
テント泊登山では(縦走の場合を除く)、テント場にテントを張ったまま、軽装備で山頂や目的地まで往復するのが普通です。
しかし、最近はテント場の盗難の話をよく聞くようになりました。
2019年9月に北アルプスの「剱沢キャンプ場」と「雷鳥沢キャンプ場」で続けて発生したテント盗難事件は有名ですね。
その後、犯人は捕まったようですが……
残念ながら、テントの盗難を完全に防ぐ方法はありません。
長時間テントを離れる場合は、被害を最小限に抑えるため以下2点に注意しましょう。
- 貴重品(財布、スマホなど)は持ち歩くこと
- テントの入口には鍵をかけておくこと
テントの入り口掛ける鍵はスーツケース用など、小型&軽量で暗証番号式のものが使いやすいです。
その他には、テントに名前などを目立つように書いておくことも盗難防止になります。
6.混雑したテント場で自分のテントがわからなくなる!
- Q自分のテントを見分ける・間違われない良い方法は?
- A
リボンやバンダナなどでテントに目印を付けておきましょう。
混雑したテント場では昼間はともかく、夜中はテントの見分けがつきにくいため、トイレに行って戻ってくると、どれが自分のテントかわからなくなることがあります。
とくに人気テントは利用者が多いため、間違ったり間違われたりする可能性が高くなるので注意が必要です。
そのようなトラブルを防ぐには、テントに目印を付けておきましょう。
目印になるものと付ける場所は下記のとおり。
目印 | リボン、バンダナ、蛍光プレート、蛍光ガイラインなど |
付ける場所 | 張り綱(ガイライン)、テントの入口など |
7.大雨でテントが浸水!
- Q大雨でテントが浸水!対処方法を教えて?
- A
あわてずに状況を確認し、安全な場所にテントを移動するか、山小屋に避難しよう。
まず、浸水の予防対策として、水が溜まりやすそうな場所(窪地)や、水はけが悪そうな場所(周囲よりも湿っている場所)は避けること。
その上で、もしテントが浸水してしったら、以下の手順で非難しましょう。
- STEP1
あわてずに雨や周囲の状況を確認する
- STEP2
安全そうな場所を探してテントを移動する
- STEP3
安全な場所がない(または移動が困難)な場合、必要な荷物をまとめて山小屋に避難する
8.雷が近くに迫ってきた!
- Q雷が近くに迫ってきた!どうしよう?
- A
危険を感じるようになってきた場合は、山小屋に一時的に非難しよう。
雷が遠くで鳴っているうちは、あまり心配することはありません。
ただし、雷が近くに迫ってきて危険を感じるようなった場合は、山小屋に一時的に避難しましょう。
山小屋が近くにない場合は、できるだけ安全な場所(低い場所)へ移動して、雷が通り過ぎるのを待つしかありません。
ちなみに、登山中の雷対策は下記のとおりです
- 気象情報(雨雲レーダーなど)をこまめにチェック
- 山頂、尾根、岩場は危険なので離れる
- 低い場所に移動して、雷が通り過ぎるのを待つ
※ただし、高い木には雷が落ちやすいので4m以上離れること。
9.寒くて眠れない!
- Q夜、寒くて眠れない!暖かくする方法は?
- A
持っている衣類や着替えをすべて着こみ、保温効果があるものはすべて利用する
山の中では想像以上に気温が下がることがあり、夏でも防寒対策(防寒着)は必須です。
防寒着を着込んでも寒い場合は、以下の方法が寒さ対策の基本です。
- 持っている衣類(レインウエア、着替え、靴下など)を全て着込む
- 保温効果があるもの(サバイバルシート、タオル、ザックなど)はすべて利用する
それでも寒い場合は、↓こちらの裏技「寝袋あったか吐息暖房」を試してください。
10.体が左右に滑って眠れない!
- Q傾斜地にテントを張ったら体が左右に滑って眠れない!傾斜地対策は?
- A
寝るときに左右の傾斜が少ない向きにテントを張るのが基本。タオルや衣類を下に敷くとすべりにくくなる。
傾斜地にテントを張った場合、寝る場所が左右に傾いていると、スリーピングマットが左右に滑って眠りにくい状況になってしまいます。
とくに、空気注入式のスリーピングマットは滑りやすいですね。
対策は以下の3つです。
- 寝るときに左右の傾斜が少ない向きにテントを張るのが基本。前後の傾斜(頭が高く足が低い)はOK
- スリーピングマットの下にタオルや衣類を敷くと滑りにくくなる
- スリーピングマットの下にはテントマット(銀マットなど)を敷かない
まず、傾斜地にテントを張る場合は、寝るときの向きを考えてテントを張りましょう。
寝たときに、頭のほうが足より高い位置になり、左右の傾斜が少ない位置がベストです。
とうしても、左右が傾いてしまう場合は、タオルや衣類をスリーピングマットの下に敷けば、滑りにくくなります。
また、テントマット(銀マット)などを敷いていると余計にすべりやすくなるので、スリーピングマットの下には、テントマットを敷かないという方法も有効です。
11.うるさくて眠れない!
- Q近くのテントがうるさくて眠れない! 注意したほうが良い?
- A
騒音対策には耳栓を持って行きましょう。
夜のテント場は思った以上に声が響きます。
当人たちは騒いでいるつもりはなくても、数十メートル先まで声が響き、うるさくて眠れないケースがあります。
このような騒音対策として、耳栓を持って行きましょう。
遮音性の高い耳栓なら、騒音防止だけでなく、安眠効果も期待できますね。
なお、相手に注意するとトラブルに発展する可能性があるため、避けたほうが良いでしょう。
12.前室に置いたままの登山靴が濡れる!
- Q就寝時、登山靴は前室に置いたままでいいの?
- A
登山靴はポリ袋に入れてテントの中に保管しよう。
登山靴を前室の置いたまま眠ってしまうと、夜中に降った雨や結露で登山靴を濡らしてしまうことがあります。
就寝中は登山靴が濡れないように、ポリ袋などに入れておくのが基本です(靴の中が濡れないように被せておくだけでもOK)。
また、登山靴をテントの外に出しておくと、盗難にあったり、小動物にいたずらされる可能性があるため、できればテント内に保管しておきましょう。
なお、テント内に保管する場合は、登山靴置き場を作っておくと便利です。
登山靴置き場については、↓こちらを参考にしてください。
13.スリーピングマットが空気漏れ!
- Qスリーピングマットが空気漏れ!応急修理できる?
- A
リペアシートを持っていれば応急修理が可能ですが……修理できない場合はザックを背中に敷いて凌ぎましょう。
空気注入式のスリーピングマットは、軽量でコンパクトに収納できるのが最大のメリットです。
しかし、パンク(空気漏れ)が発生すると使い物にならなくなるのが困ったところです。
空気漏れの発生を防ぐには、出発前に入念にチェックしておく(実際に空気を注入して、空気漏れがないかをチェックする)こと。
テント泊中にスリーピングマットがパンクした場合は、リペアシートを持って行けば応急修理が可能です。
ただし、応急修理が可能なのは、空気漏れの箇所が特定できた場合のみです。
実際には空気漏れの箇所はわかりにくいことが多く、応急修理が難しい場合がほとんどでしょう。
そんなときは、以下のようにザックをスリーピングマット代わりに背中に敷いて凌ぎましょう。
ザックは仰向けにして雨豚の部分も広げます(これで最低限の長さ90㎝を確保)。
身体に当たると痛い部分には、タオルなどでカバーします。
多少背中は痛くなりますが、1~2日程度であればなんとか凌げます。
あとがき~安全のために
テント泊は山の自然を身近に感じられる反面、悪天候に見舞われると一気に危険性が高くなってしまいます。
運悪く大雨や雷などに遭遇してしまったら、もっとも安全な方法は山小屋に避難することです。
とくに夏場は天候が不安定な時期が多いので、山小屋から離れたテント場は避けたほうが良いでしょう。
山に入ったら、気象情報(台風、落雷、雨雲レーダーなど)のチェックも忘れずに!
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