丹沢・表尾根(おもておね)の山行レポの続きです。
前回はヤビツ峠行きのバスの混雑を避けて、ひっそりと静かに歩ける穴場コース、蓑毛~ヤビツ峠までのレポでした。
今回はヤビツ峠~二ノ塔~三ノ塔まで。
三ノ塔の知名度は低いですが、山頂は広く360度開けた展望は塔ノ岳の展望にも劣らないほどです。
しかも塔ノ岳にはない魅力もあるんです。
それは…塔ノ岳まで続く稜線が一望に眺められること!
ヤビツ峠~二ノ塔
ヤビツ峠
8:40頃にヤビツ峠へ到着しました。蓑毛バス停を出発したのが8:20頃。
写真を撮りながらゆっくり歩いてきたので、標準コースタイムより少し時間がかかってしまいました。
慣れている人なら1時間ぐらいで歩けるコースです。
土休日なら秦野駅からヤビツ峠行きバスが8:30~8:35頃に到着するので、まだ登山客で賑わっている時間帯です。
今日は平日なので他に登山客は見当たらず静かでした。
ちなみに平日のバスの始発は8:35なので、ヤビツ峠に到着するのは9:20~9:25頃になるでしょう。
ヤビツ峠にある大きな公衆トイレ。
トイレの正面には半円形にベンチが設置され、屋根もあり休憩所も兼ねています。
真ん中に立っているのは登山届用のポストです。
このポストにも、前回記事で紹介した登山届の用紙が置かれています。
丹沢の主要な地点があらかじめ印刷され、登山コースの書き込みが簡単にできるので、登山届は忘れずに提出しておきしょう。
ちなみに、右側が女性用、左側が男性用トイレの入り口になります。
男性用は小7、大3と個室も多いので安心です。(^_^;
道路を渡ったところにある売店です。平日は営業していないようです。
売店の上の看板に「国民宿舎・丹沢ホーム」という文字が見えますが、ここから徒歩2時間ほど下った場所(札掛け)にある国民宿舎・丹沢ホームが営業している売店のようです。
品数は少ないですが「丹沢サイダー」「オリジナル手てぬぐい」「オリジナルのお菓子(焼菓子工房?)」等が置いてあり、夏季には生ビールもやっていましたね。
営業している時の写真を載せておきます。
この時は入り口の向かって左側に、多くの写真(周辺の景色、動物、登山客・自転車・マラソンの模様)が展示されていました。
表尾根の登山口は、車道を富士見橋まで約25分下ります。
車道の右側にヤビツ峠の無料駐車場(約30台)ありますが、表尾根の登山口にはこの先の菩提峠の無料駐車場(約30台)のほうが近いです。
駐車場の奥に門戸口橋付近へつながる登山道の入り口があります。
歩く人は少ないようで、以前歩いた時にはかなり荒れている印象でした。
ヤビツ峠から門戸口橋までは約30分、門戸口橋から富士見橋までは登り約10分です(下の図を参照)。
富士見橋まではこの道を利用する手もありますが、沢沿いの不明瞭な道なのでおすすめはしません。
探検気分で歩くにはおもしろいかもしれません。
富士見橋
ヤビツ峠から25分、富士見橋へ到着。表尾根の登山口は富士見橋を渡って左の坂道(上の写真)を100mほど登ったところです。
橋を渡った右側は現在空き地になっていますが、以前はここに富士見山荘という山小屋兼食事処がありました。
土日営業で手打ちそばや軽食が食べられたんですが、2012年火事で焼失してしまったようです。
跡地は駐車場になる?との噂もあったようですが、現在は立ち入り禁止となっています。
かつての富士見山荘の写真がありましたので載せておきます。
護摩屋敷の水
コースからは少し外れてしまいますが、富士見橋から車道を100mほど下ったところに、環境省の名水百選に選ばれた秦野盆地湧水群の一つ護摩屋敷の水(ごまやしきのみず)が湧き出している場所があります。
日中は車で水を汲みに来る人で賑わいます。
水場は上の写真の場所とは別に、奥のほうにもう一箇所あります。
表尾根登山口
富士見橋を渡って左側の坂道を登って行きます。
ここには公衆トイレがありますが、冬季は閉鎖されているようなので、トイレはヤビツ峠で済ませておいたほうがいいでしょう。
坂道を100mほど登り、やっと表尾根の登山口に到着しました。
二ノ塔までは1時間、三ノ塔までは1時間15分、塔ノ岳までは4時間5分という道のりです。
この先しばらく急登が続くので、ここでいつも行動食やら腹ごしらえをしていきます。
車道をまっすぐに進むと10分ほどで菩提峠です。
マイカーの場合は菩提峠の駐車場に車を止めれば、登山口まで10分でこれますね。
登山口の左側に立っている「自然情報、発信中!」の掲示板。
丹沢の自然や動物の情報が掲載されています。
この掲示版は丹沢山中の各所に立っていて、定期的に内容が変わっているので、これを読むのも楽しみの一つなんです。
ここでは紅葉のひみつ~赤と黄色の紅葉のしくみと、動物たちの秋のごちそう~どんぐりについての情報が掲載されていました。
なるほど…ドングリの木は、ドングリを食べる動物たちが増えすぎないように、上手に自分の子孫が残せるように、方策・凶作を作っているのだそうです。
登山道はいきなり急登ではじまります。
階段状に整備されていますが、段差の大きい場所もちょこちょこあります。
はじめから体力を消耗しやすい場所なので、意識的にゆっくりと登っていきます。
登山口から10分ほど登ると一旦林道へ出ます。
菩提峠から続いている林道のようです。登山道は左へ10mほど下ったところから続きます。
表尾根登山口から約25分、ブロックでできた謎の構造物の跡を通過。
ここの裏側にもブロックでできた壁跡やらが残っています。
それほど古いものではなさそうですが、何のための構造物なのかは不明です。
表尾根登山口から約35分、少し開けたベンチがある場所に到着。
この先は急登が続くので休憩するのにちょうどいい場所です。
先程のベンチのある場所からは階段状の急登が続きます。
表尾根登山口から約50分。樹林帯を抜けるとガレた急斜面に変わってきます。
このへんの登りはキツイですが、相模湾や大山の眺めがいい場所なので、景色を眺めながらゆっくり登っていきます。
ここにも「自然情報、発信中!」の掲示板が設置されています。
右側に見える山は大山(おおやま)です。
秋に耳をすますと聞こえる「フィ~~~ヨ~~」をいう音は、繁殖期を迎えたニホンジカの雄の求愛の声。
空を舞う大型の鳥類は、丹沢では、タカ科13種、ハヤブサ科4種が確認されているそうです。
少し先に登ったところからの大山のアップです。
たまたま手前にあった赤い木の実とのコントラストが良く撮れていますねー。自画自賛!(笑)
このあたりが大山の絶好のビューポイントです。
ここから見る大山は、尾根と谷が入り組んだ堂々とした姿をしています。
山頂付近に立っている電波塔も確認できますね。
この木段を登りきってしばらく進むと二ノ塔に到着です。
ニノ塔~三ノ塔
二ノ塔の山頂
表尾根登山口から約1時間。二ノ塔(にのとう、1144m)の山頂に到着です。
広い場所ではありませんが、テーブルベンチが5つほど設置されています。
以前はもう少し展望が良かった記憶があるんですが…
現在、周囲は低木に囲まれていますが、木々の隙間から周囲の山々を眺めることができます。
南西方面に富士山も見えていますね。
二ノ塔、三ノ塔の名称の由来には諸説あります。
1)表尾根にはいった時に、最初に休む所を「一ノ所」、次に休む所を「ニノ所」と言っていたのが、いつのまにか、なまって「一ノ塔、二ノ塔、三ノ塔」になったという説。
2)昔、毎夜のように山に光るものがあり、村人が登って行くと、突然空に燈明が輝き3つの燈明がそれぞれ山頂に現れたことから「一ノ燈、ニノ燈、三ノ燈」と書かれるようになり、いつしか「燈」の字が「塔」に変わったという説。
出典:「山と溪谷社/フルカラー特選ガイド・丹沢を歩く」より
二ノ塔から見た富士山のアップです。
西側に見えているなだらからな山が、これから向かう三ノ塔です。
ヤビツ峠から約1時間、急な登山道を登ってきたので、ここでゆっくり休憩して行きたいところですが…
三ノ塔まではここから15分。長い休憩をとるならもっと景色がよくて山頂も広い、三ノ塔まで行ってしまったほうがいいでしょう。
二ノ塔尾根(エスケープルート)
今回は通りませんがニノ塔の山頂からニノ塔尾根を利用して下山することもできます。
気づかない人も多いかと思いますが、二ノ塔の山頂の南側の左端に「菩提 4.3km、葛葉ノ泉 1.9km」の標識が立っています。
これは ニノ塔の山頂から南へ下っている 二ノ塔尾根の降り口を指す標識です。
下山口(葛葉の泉)までは1時間10分。バス停のある菩提まではさらに40分かかりますが、菩提バス停からは、渋沢駅/秦野行きのバスが、1時間に2-5本便があるので交通は便利です。
二ノ塔尾根の下山口のすぐそばには、名水百選に選ばれた秦野盆地湧水群のひとつ、葛葉の泉(くずはのいずみ)が湧き出している場所があります。
二ノ塔尾根を利用する際には、ついでに名水をGETしていくといいでしょう。
菩提バス停の時刻表は↓こちらです。
ニノ塔山頂での休憩はそこそこにして、すぐに三ノ塔へ向かいます。
三ノ塔までは15分。はじめは緩やかな木道ですが…
木道が終わると急下降が三ノ塔の鞍部まで続きます。
鞍部から急な木段を登り返し…
さらに続く木道を登りきれば…
三ノ塔の山頂
視界が一気に開け、三ノ塔の頂上の東端が見えてきました。
手前に見えている建物は新しく設置されたトイレです。
三ノ塔付近にはトイレがなかったので便利にはなったんですが、ニノ塔から登ってくると、最初に目に入るのがこのトイレなので、景観的にはマイナスになってしまいました…(^_^;
10:40頃、三ノ塔(さんのとう、1205m)の頂上に着きました。
広くて平坦な頂上です。360度の展望が開けているので眺めは抜群です。
正面に見えている建物は休憩所。ベンチも多数設置されているので、ゆっくり休憩できる場所です。
山頂の真ん中あたりには、方位盤が設置されているので、周囲の山々の山座同定を楽しむこともできます。
テントを張るには、絶好のロケーションなんですが…ここは幕営禁止です!残念!
南西方面には富士山が見えますね。手前に見える尾根が大倉尾根です。
三ノ塔から見た富士山のアップです。
東側に見える均整のとれた山は大山(おおやま、1252m)です。
北西方面にはこれから歩く、表尾根の稜線が一望に眺められます。
素晴らしいですねー!
写真ではわかりにくいですが、手前の烏尾山(からすおやま、1136m)までの登山道と、山頂に立っている烏尾山荘が肉眼ではっきりと確認できますね。
これから、この稜線を塔ノ岳まで歩いていくんです。
ワクワクしてきますね!
日帰りでこんな稜線歩きを楽しめるなんて、なんて贅沢なコースなんでしょう!
こちらは山頂の真ん中に立っている休憩所です。
避難小屋ではないので寝具等は用意されていませんが、緊急の場合は避難小屋としても利用可能ですね。
神奈川県ホームページ/【三ノ塔休憩所】供用開始のお知らせ
休憩所の中は2つの空間に分かれていて、それぞれ、丸太を加工して作られたテーブルと、長椅子が設置されています。
20人ぐらいは座れるでしょうか。
休憩所の前。ここにも「自然情報、発信中!」の掲示板が設置されていました。
三ノ塔の由来は、以下のようにと書かれていました。
昔、唐からやってきた神が、村からのびる尾根に三つの神灯を灯し、最初の灯が現れたところに唐子神社を建て、二番目、三番目に現れた山頂をそれぞれニノ灯、三ノ灯と呼び、その後、「灯」→「塔」に現在の名となったといわれています。
ニノ塔のところで、名前の由来は諸説あると書きましたが、これは3つ目の説なのか?
でも、「灯」→「塔」に変わったというのは、2番めの説と同じですね(漢字は違いますが)。
内容を比較してみると、村人目線なのか、神様目線なのかの違いだけで、同じ内容のような気もしてきました。
こちらが今年(2018年3月)新しく設置されたトイレです。
洗浄水式(足元のポンプを踏むと洗浄水が流れる)で、トイレットペーパーも設置されていました。
できたばっかりなので、とてもきれいです。これなら安心して利用できますね。
ただし、冬季(12月~2月)は凍結により水が流れなくなるため閉鎖されるようです。ご注意を!
三ノ塔尾根(エスケープルート)
今回は通りませんが三ノ塔から三ノ塔尾根を利用して大倉へ下山することもできます。
下り口は、三ノ塔の山頂からニノ塔方面へ数メートル下ったところにあります。
ニノ塔から登ってくると、三ノ塔の山頂のすぐ手前になるんですが、先に三ノ塔の開けた山頂付近が目に入ってしまうので、ついつい、見過ごしてしまう場所にあります。
写真はいつも撮り忘れてしまいます。(^_^;
三ノ塔から大倉までは約1時間50分。樹林帯の中の単調な道ですが、表尾根から大倉方面へ下る登山道の中では、一番歩きやすく、安全なコースです。
三ノ塔からヤビツ峠までは約1時間20分で戻れますが、ヤビツ峠はバス便が少なく、秦野駅までは約50分かかるので、三ノ塔尾根から大倉へ下山したほうが、早く安全に下山できるでしょう。
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さて、表尾根の稜線歩きはここから先が本番です。
三ノ塔から続く稜線を眺めながら…烏尾山(からすおやま)~行者ヶ岳(ぎょうじゃがたけ)~新大日(しんだいにち)~木ノ又大日(きのまただいにち)と、いくつものピークを越えて塔ノ岳までたどりつきます。
特に私が好きなのは三ノ塔から烏尾山へ下るところからの眺めなんですが…
[続く…]
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